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1リンパシンチグラフィはリンパ浮腫の評価に有用か?■推奨■推奨の強さと根拠 2C(弱い推奨,弱い根拠)■1方法であれば①の浮腫によって生じる変化を検出する方法の有用性は高い。一方,浮腫を生じた原因がリンパのうっ滞であるかどうかを判断するには②の評価がとくに重要であるが,これには蛍光色素や造影剤,放射性同位元素を用いる,侵襲的な方法が現時点では主流である。さらに,③リンパの流れやリンパ管の解剖の描出は外科的治療を前提とした評価として極めて重要であると考えられる。リンパ浮腫評価方法の有用性は,それぞれの有益性と特徴があり,必要に応じて組み合わせて使用されるべきである。リンパ浮腫の診断と評価方法について,International Society of Lymphology(ISL)のConsensus Documentならびに近年の国際学会,英文論文における動向をもとに,検査方法の予備検索をかけた。その中でclinical studyが十分渉猟可能であった,シンチグラフィ,インドシアニングリーン蛍光リンパ管造影,バイオインピーダンス,超音波,MRIについて,本ガイドラインでCQを作成して,有用性を検証する対象とした。それぞれの検査の解説文の作成にあたっては,「リンパ浮腫の診断に有用か? 早期診断に有用か? 重症度評価に有用か? 治療効果判定に有用か? 発症リスク評価に有用か? リンパ管同定法として有用か? 機能的リンパ管を同定する方法として有用か?」という疑問点について検討し,それぞれの検査方法が該当する点についてとくにくわしく解説を加えた。リンパシンチグラフィは観察可能深度に限界がなく,リンパ流の全体像を把握するのに適している。所属リンパ節への集積の遅延や皮膚逆流現象,側副路形成などの所見からリンパ機能の評価が可能であり,リンパ浮腫の診断に有用とする報告が多い1-10)。また,これらの所見の多寡は臨床的重症度と相関するため重症度評価としても用いられる1, 9, 11-13)。リンパ浮腫に対する治療前後にリンパシンチグラフィを撮影し,画像所見の変化をもって外科的治療や保存的治療の治療効果を判定する報告も散見される6, 7, 11-14)。しかし,外科的治療の多くはリンパシンチグラフィで直接的に評価することは困難であり,注意が必要である。リンパ浮腫患者において浮腫を発症していない四肢を評価し,発症リ1章 リンパ浮腫リンパシンチグラフィはリンパ浮腫の診断と重症度評価に有用である可能性が高い。治療効果の予測や判定における有用性に関して検討した報告も散見されており,幅広く活用できる可能性がある。しかし,撮影方法や評価法が標準化されておらず,詳細な比較検討が難しい。 根拠・解説 リンパシンチグラフィは悪性腫瘍における所属リンパ節の同定法として開発され,1980年代にリンパ浮腫に対する評価法として応用された。当時行われていた直接的なリンパ管造影とは異なり,低侵襲で客観性の高い検査法であるため,種々の解析と改良を経て,現在世界的に用いられている。CQ489

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