拡散強調画像(diff usion weighted image:DWI)は良性・悪性軟部腫瘍の鑑別に役立つ。一般的に悪性腫瘍では,良性病変よりも細胞密度が高いため,拡散低下を反映し拡散係数(apparent diff usion coeffi cient:ADC)が低値となることが多いが,良性病変でも膿瘍では拡散低下を呈する8, 9)。造影検査は,①充実性腫瘤と嚢胞や血腫との鑑別,②生検や治療前後のバイアブルな病変部位の同定に有用である8)。MRIが最も情報が多く得られることは,多くの専門科が賛同するところであるが,高木3)はまず簡便な単純X線と超音波を使用し,次にMRIをオーダーするのが通常と思われ,必要に応じて,CTやPET/CTを追加するような流れが多いのではないだろうか,と述べている。PET/CTでは悪性軟部腫瘍に高頻度に集積を認め,良悪性の鑑別に有用であるが,良性でも肉芽図 皮下腫瘍・軟部腫瘍の診断ステップ22第Ⅰ編 皮膚軟部腫瘍診療ガイドライン視診所見特徴的部位触診所見超音波検査単純X線,CTMRI穿刺・吸引生検粉瘤:皮膚開口部(ヘソ)あり・粥状内容物を確認。血管奇形・静脈瘤:透見できる・下垂で増大する。指粘液嚢腫:透見できる。穿刺で確認。眼瞼黄色腫:黄色の扁平隆起性病変ガングリオン:手根部滑液包炎:肘頭・膝蓋下・膝蓋前・足背・坐骨部弾性線維腫:肩甲骨下角グロムス腫瘍:爪下,疼痛強い。皮様嚢腫:眼窩上外側リンパ節腫脹:頸部,腋窩,鼠径など眼瞼黄色腫:上眼瞼内側石灰化上皮腫:石様硬で皮膚に癒着。小児・若年者。脂肪腫:弾性軟,皮膚と可動性あり。腱鞘巨細胞腫:弾性軟。下床に癒着する。動静脈奇形:ドプラでhigh flowガングリオン,リンパ管腫,粘液腫などの嚢腫:表面high ECHO,内部low ECHO静脈奇形:静脈石骨化性筋炎,石灰化上皮腫:石灰化脂肪腫:CTで脂肪と同じ濃度,内部均一*さまざまな腫瘍を識別することができる。 悪性を疑うときは造影,拡散強調画像(DWI)を。ガングリオン,リンパ管腫,粘液腫などの嚢腫,血管奇形:液体はT1 low T2 highに映る。神経線維腫:spilt fat sign,脂肪腫:均一で分葉状。脂肪抑制(Fat sat法,STIR法など)される。ガングリオン,指粘液嚢腫:ゼリー状内容血管奇形:血液滑液包炎・リンパ管腫:リンパ液*外観で判別できないときは,細胞診を提出する。*上記で悪性を除外できないときは生検を行う。
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