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3章メラノーマ(悪性黒色腫)■推奨■推奨の強さと根拠 1B(強い推奨,中程度の根拠)※ 検索文献にくわえて米国のガイドライン(NCCN:Clinical practice guideline in oncology- melanoma. Version 2. 2018.)とオーストラリア・ニュージーランドのガイドライン(Clinical practice guidelines for the management of melanoma in Australia and New Zealand.2008)も参考にした。臨床所見でメラノーマが疑われる病変に対しては,切除マージン 1〜3mmで,深部は脂肪層での切除生検を行うことが推奨される。 根拠・解説 全切除生検に関して,切除する範囲と予後との関係を検討した研究はないが,National メラノーマは予後不良の悪性腫瘍の1つである。前版のガイドライン発行以降,メラノーマの診療において2つの大きな変化があった。1つは,分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい薬物の開発である。これらの薬物療法により,従来の化学療法より予後の改善が得られるようになった。現在,国内ではいくつかの薬剤が,切除不能な転移性病変に対する治療や術後の補助療法として使用可能である。もう1つは,海外におけるセンチネルリンパ節転移陽性のメラノーマ症例を対象としたRCT(MSLT-2試験)において,即時リンパ節郭清群と経過観察群(4カ月ごとにエコーでリンパ節を評価,リンパ節転移が明らかになった時点でリンパ節郭清を行う)とを比較したところ,リンパ節郭清による疾患特異的生存期間の延長効果が示されなかったことである。海外のデータであり,現時点ではそのまま本邦の現状に当てはめることはできないが,今後,本邦でも治療方針に影響してくる可能性がある。特に近年のメラノーマ研究の発展は日進月歩であり,本ガイドライン刊行後もさらに研究が進んでいると予測される。このような情勢に十分に留意し,最新の情報を取り入れつつメラノーマの診断,治療に当たりたい。はじめに第Ⅰ編 皮膚軟部腫瘍診療ガイドラインCQCQ24-a 臨床所見でメラノーマが疑われる病変に対し生検を行うことは推奨されるか?24原発巣にはどのような生検が有用か?

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