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■参考文献1) Lederman JS, Sober AJ. Does biopsy type infl uence survival in clinical stage I cutaneous melanoma? J Am Acad Dermatol. 13:983-7, 1985■推奨■推奨の強さと根拠 2C(弱い推奨,弱い根拠)Ⅰ3 今後の課題 生検に関しては,ほとんどすべての論文のエビデンスレベルがCであり,今後エビデンスレベルの高い研究が必要となる。また欧米では研究対象症例数が圧倒的に多く,本邦においては多施設共同研究が望まれる。メラノーマ原発巣の部分生検により再発・転移率が上昇し生存率を低下するという根拠はないので,全切除生検が不可能な場合には,部分生検を行ってもよい。ただし,部分生検により正確なtumor thicknessが評価されない可能性もあり,注意を要する。 根拠・解説 メラノーマの原巣に対して,全切除生検(excisional biopsy)を行うと単純縫縮が不可能な病変には,診断確定のため部分生検(incisional biopsy)を行ってよいかどうかが問題である。部分生検を行うことによりメラノーマ細胞が深部に押し込まれて,リンパ節転移や遠隔転移を生じる危険性が高まることが懸念される向きもある。この点については,全切除生検群と部分生検群の間に5年生存率1),局所再発率と死亡率2),再発とメラノーマ関連死亡3),センチネルリンパ節の転移陽性率4)において有意差がみられなかったと報告されている。したがって,全切除生検が不可能な場合には,部分生検も可とみなされる。しかしながら,頭頸部原発の症例については,部分生検が生存率を低下させたとする報告がみられる5)。Comprehensive Cancer Network(NCCN)では完全切除のために1〜3mm程度の側方マージンとし,深部は皮下脂肪組織まで切除することが推奨されている。なお,切除生検から拡大切除施行までの待機時間の長さの違いは生存率と再発率に影響しないと報告されている1, 2)。一期的に切除を行うと切除マージンが不十分あるいは過度の切除となり,切除生検でtumor thicknessを確認してから拡大切除を行う方が,一期的に根治的拡大手術を行うよりも全生存率・無病生存率・無再発率が優れていたという報告もある3, 4)。部分生検のリスクとして,組織診断の精度低下が挙げられる6, 7)。Tumor thicknessが低く見積も2) Lees VC, Briggs JC. Eff ect of initial biopsy procedure on prognosis in Stage 1 invasive cutaneous malignant melanoma:review of 1086 patients. Br J Surg. 78:1108-10, 19913) McKenna DB, Lee RJ, Prescott RJ, et al. A retrospective observational study of primary cutaneous malignant melanoma patients treated with excision only compared with excision biopsy followed by wider local excision. Br J Dermatol. 150:523-30, 20044) Pfl ugfelder A, Weide B, Eigentler TK, et al. Incisional biopsy and melanoma prognosis:facts and controversies. Clin Dermatol. 28:316-8, 2010CQ24-b 原発巣に対して部分生検を行うことは有用か?3章 メラノーマ(悪性黒色腫)45

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