超音波検査により得られる情報10 計測のキャリパーの横棒が,透亮部の中ではなく,境界線に同化するように置いて測定する(図6b,図6c) 矢状断か正中面からずれるほど,NT生存率(%)疾患頻度(%)290.0001100.10.010.0012025353040母体年齢(歳)XXX/XXY/XYY図4 母体年齢と染色体数的異常の関係ダウン症候群のリスク評価に用いる基本的な超音波マーカーは,NT,胎児心拍数である。それぞれ,胎児の大きさによって変化するため,胎児頭殿長(crown-rump length;CRL)の測定を行い,その妊娠週数における尤度比を算出する。 より多くの情報を組み合わせることで,より正確な確率計算を行うことができる。鼻骨・静脈管血流,三尖弁逆流などのソフトマーカーに関しては,次項「他の超音波マーカー」にゆずる。① NT(nuchal translucency,胎児後頸部透亮像)胎児NTの測定に適している妊娠週数は,11週0日〜13週6日である。CRLは45〜84mmの 範囲内にあるべきである。ダウン症候群胎児の約75%において,NT肥厚がみられる。NT計測のポイント❶ 画像の拡大と正常断面 胎児頭部と上胸部がスクリーン全体を占めるように画像を拡大する(図6a) 正確な胎児正中矢状断を得る (図6a) すなわち,鼻骨・脊椎・脳幹等を認め,鼻骨と口蓋の間に頬骨を認めないを過小評価する8)44ダウン症候群18トリソミー13トリソミーターナー症候群三倍体1008060402010152030妊娠期間(週)重なっている三倍体図5 妊娠10週を起点とした染色体数的異常児の生存率図6a 胎児正中矢状断図6b 正しいNT計測キャリパーが高輝度部に253540キャリパーが透亮部内にあり,過小評価している2 染色体異常のスクリーニング検査1)妊娠初期の検査:NT計測とコンバインド検査XXX/XXY/XYYダウン症候群ターナー症候群18トリソミー13トリソミー図6c 誤ったNT計測
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