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4 胎児形態異常の検査NIPT時代における妊娠初期の胎児超音波検査の役割として,新たに注目されつつある,胎児異常の早期発見に役立つポイントについて知り,診断技術の向上を図る。794 胎児形態異常の検査1)妊娠初期の胎児超音波検査NT計測を中心とした妊娠初期(特に妊娠11〜13週)における超音波検査は,これまで胎児の染色体異常,特にトリソミーのスクリーニング検査として世界各地で行われてきた。しかし,NIPTの導入は,染色体異常のスクリーニングの状況を大きく変化させた。これまで超音波検査(および血清マーカーを加えたコンバインド検査)が担っていた役割の多くがNIPTにとって代わられるようになり,妊娠初期超音波検査不要論まで語られるようになった。だが,長年にわたってこの時期における胎児の観察を続けてきた臨床家・専門家たちは,その過程において新たな知見を見出し,それまで妊娠中期(妊娠20週頃)の検査にその役割が集中されていた胎児奇形の発見を,妊娠初期に前倒しすることを可能にし,この時期の検査に新たな意義を見出した1)。このことによって,妊娠初期の超音波検査は,より重要性を増しているということができる。ここでは,近年見出された新たな胎児異常発見のポイントの概要をいくつか述べていく。詳細については,文献を参考にしていただきたい。なお,以前には,諸外国で用いられている「first trimester」という用語とわが国で用いられていた「妊娠初期」との間には時期のずれが生じていたが,現在そのずれは解消され,この2つの言葉は同一の期間を記す用語となった。しかし,超音波検査を行う時期に関していうと,妊娠初期の超音波検査という表現を用いた場合,諸外国では妊娠11〜13週が中心的時期になっているのに対し,わが国においては,もう少し以前の妊娠6〜10週頃の経腟超音波による観察をイメージされることが多いと思われる。もともとNTの計測が普及していなかったわが国では,妊娠11〜13週における胎児の観察を行う機会が極端に少なく,諸外国においてこの時期の胎児超音波検査が進んでいることと比べて,大きな違いが生じている。今後,この時期における胎児の観察にもっと目を向け,体制を整えていくことが急務である。NT計測のための胎児頭部の正中矢状断面の描出は,同時に鼻骨の検出が可能になるのみならず,頭部正中構造の観察を可能にする。Chaouiら2)は,この断面において,脳幹部後方の構造を観察することが,二分脊椎の早期発見につながることを見出した。1. 妊娠初期における二分脊椎の早期発見マーカー第2章 出生前検査・診断の実践1)妊娠初期の胎児超音波検査

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