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3❖内分泌および代謝系検査 4❖抗リン脂質抗体検査 5❖染色体検査 6❖血栓性素因スクリーニング 82必要である。中隔子宮は子宮鏡下中隔切除術により流産を防ぐエビデンスがあり,十分なインフォームド・コンセントのもと実施される。不育症と関連する内分泌および代謝の異常として,甲状腺機能異常,耐糖能異常が知られている。TSH, fT4を測定し,異常がある場合に抗TPO抗体を測定する。検査歴がなければ耐糖能異常の検査としてHbA1cと随時血糖を測定し,異常値の場合,内分泌内科にコンサルトする。抗リン脂質抗体症候群の診断基準に従って検査を行う 4)。抗カルジオリピン(CL)IgG/IgM抗体,抗β2GPI抗体IgG/IgMおよびループスアンチコアグラント(LAC)を検査する。LACはdRVVT法とaPTT法で測定しているが,後者は保険適用となっていない。これらの検査は陽性の場合,12週あけて2回検査を行う。抗体検査で異常値を認めた場合は,妊娠4週から低用量アスピリン100 mg内服とヘパリンカルシウム10,000 IU/日(分2)の自己注射を開始し,妊娠36週でアスピリンを中止,ヘパリンは分娩前日まで投与を続ける方法を実施している。抗PE抗体はキニノーゲン依存性に血小板凝集を起こすことが知られている。2回測定での陽性例に流産との関連を示唆する報告もあり,可能な限り測定する。染色体構造異常は不育症の集団では3.7%に認められ,PGT-SRの対象となる。PGT-SRの有効性はまだ証明されていないが,流産を経ずに生児獲得までの時間短縮になることが期待される。流産の60〜80%は胎児染色体異数性が原因であり,原因不明不育症の相当数を占める原因として胎児染色体異常の反復が考えられる 5)。流産絨毛組織の染色体検査については,当該流死産の原因を知る方法であり,保険適用となったため2回目以降は実施を勧めている。しかし,現在行っているG-band法には生存した絨毛組織が必要であり,手術的に取得した組織が対象となる。一方で自然流産(流産組織の自然排出)は子宮内膜損傷のリスク回避のため推奨され,不妊症患者では自然排出を望む患者も多い。その場合,次世代シーケンサー(NGS)によるDNA解析が可能であるが,自費検査となる。第Ⅻ因子が不育症のリスク因子かどうかは結論が出ていない。第Ⅻ因子に対する自

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