E.その他の間葉性腫瘍 Miscellaneous mesenchymal tumors1. 卵巣性索腫瘍に類似した子宮腫瘍 Uterine tumor resembling ovarian sex cord tumor(UTROSCT) (図譜97, 98)概 要 卵巣性索腫瘍との類似性を特徴とする腫瘍で,50代にみられることが多い。偶発的に発見されることもある。多くは良性の臨床経過をたどるが,再発することがあるため低悪性度と捉えるべきである。ただし,組織発生(子宮内膜間質との関連)が未解決となっている。病理所見 セルトリ細胞腫や顆粒膜細胞腫にみられるような索状,コード状,胞巣状,島状,管状,あるいは網状の配列を示す。細胞質はわずかなことが多いが,豊富で好酸性に富むこともある。核は類円形あるいはやや短紡錘形を示す。周囲の平滑筋層や子宮内膜とは境界が明瞭で圧排性に増殖するが,ときに境界が不明瞭となる。予後を規定する形態学的な特徴はわかっていない。 免疫組織化学的に,steroid genic factor 1, FOXL2, inhibin-α, calretinin, cyto-keratin, WT-1, α-smooth muscle actinなどに種々の程度の陽性所見を示す。ただし,特定のパターンはない。2. 血管周囲類上皮細胞腫瘍 Perivascular epithelioid cell tumor(PEComa) 3.炎症性筋線維芽細胞腫瘍 Inflammatory myofibroblastic tumor (図譜101) 稀な腫瘍であるが閉経後に発生する傾向がある。種々の程度の炎症細胞浸潤を示し,異型に乏しい紡錘形ないし類円形核をもつ細胞が増生している。粘液腫様の基質を伴って疎に観察される,あるいは束状に密に増生しているものもある。硝子化もみられ,平滑筋腫や類粘液平滑筋腫の形態と類似している。ほとんどが免疫組織化学的にALK陽性で,ALK再構成を示す頻度が高い。45(図譜99, 100)概 要 血管を取り巻くように増殖する上皮様細胞からなる腫瘍で,メラノサイト(色素細胞)や平滑筋への分化がみられる。閉経前から高齢者にみられる。生殖臓器以外のPEComaに比べて頻度は少ない。ほとんどの症例は孤発性であるが,一部は結節性硬化症と関連する。稀に悪性の経過をたどる。病理所見 腫瘍細胞は淡明,または好酸性で顆粒状の細胞質をもち,上皮様だけでなく紡錘形のこともある。充実性や束状に増殖し,概ね境界は明瞭であるが,辺縁は舌状 tongue-likeの浸潤性を示すことがある。子宮内膜間質肉腫との鑑別を要することがある。腫瘍の大きさ(5cmをこえる),侵入性浸潤,強い核異型,核分裂(50mm2あたり1個をこえる),壊死,血管侵襲などが悪性の指標とされる。 免疫組織化学的に,HMB-45やMelan-Aなどのメラノサイトマーカー,およびα-smooth muscle actinに陽性となることで診断が確定される。
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