推奨決定会議の運営にあたっては,事前に資料を供覧し,参加対象委員全員がEtDフレームワークを記入して意見を提示した上で,当日の議論を行った。推奨決定会議には参加対象委員のうち,15名が参加した。投票に際しては,本ガイドラインのCOI管理方針に基づいて各委員が自己申告を行い,山上亘委員は組織COIにより,各項目の議論には参加したが投票は棄権した。 1 このCQの優先度子宮頸がんの若年罹患者は増加しており,妊孕性温存療法への関心は高まっていると考えられ,全委員が優先度は高いと判断した。 2 介入の望ましい効果望ましい効果を「中」とするか「大きい」とするかで判断が分かれたが,中等度以上の望ましい効果があることについては異論がなかった。判断が分かれた理由として,出生率が高くないこと,術式によって結果がばらつくこと,RCTやメタアナリシスがないことが挙げられた。 3 介入の望ましくない効果本介入を受けた後は周産期合併症が増加するため,望ましくない効果を「大きい」とするか「中」とするかで意見交換が行われた。投票の結果,全委員が望ましくない効果は「中」と判断した。 4 エビデンスの確実性投票の結果,エビデンスの確実性は「弱」と判断した。5) システマティックレビューのまとめ本CQについて,周産期的アウトカムと腫瘍学的アウトカムに関する報告はすべて後方視的データの結果であり,前方視的研究は存在せず強い推奨を与することは難しい。周産期的アウトカムについては,観察研究における臨床的妊娠率は既存のシステマティックレビューと同程度であった。観察研究における出生率は比較的高かった。腫瘍学的アウトカムについては,無病生存期間,全生存期間に関して,広汎子宮頸部摘出術が広汎子宮全摘出術と比較して劣るという報告は認められなかった。しかしながら,広汎子宮頸部摘出術の術式を比較した報告では術式別に異なるリスクが報告されている。特に,年齢(40歳,45歳),組織型(腺扁平上皮癌),腫瘍径(2cm),術式(腟式,腹式,低侵襲手術)および術前・術後補助療法の有無と条件(術前化学療法の安全性,中リスク因子数と化学療法レジメン・サイクル数)の可能性を考慮した上でCQの設定内容を含めた評価を要する。周産期合併症の全体の発生率を算出することは難しいと思われた。主要な検討項目である流産率と早産率について,既存のシステマティックレビューがほとんどではあるが,結果には概ね差を認めなかった。その他の合併症の詳細についての検討は困難であった。術中合併症については,広汎子宮頸部摘出術と広汎子宮全摘出術の間で有意差が認められた報告はない。一方,術後合併症の内容と頻度は報告により異なるため,術後合併症については周産期管理への影響も含めて今後さらなる検討を要する。また,術前後の心境の変化の頻度や内容は報告により異なるが,治療後は慎重な心理的フォローが推奨される。6) 推奨決定会議における協議と投票の結果本CQの推奨決定会議参加対象委員16名の内訳は,医師(がん治療領域)6名,医師(生殖領域)3名,看護師(がん治療領域)1名,看護師(生殖領域)1名,薬剤師1名,臨床心理士1名,遺伝カウンセラー1名,患者2名であった。おそらく,いいえおそらく,はいいいえ0000000中3000中0000わずか小さい大きい小さいわずかさまざまわからない14はいさまざまわからない14大きいさまざまわからない11 1 益のまとめ 2 害のまとめ112
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