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*本ガイドラインでは,臨床的妊娠率を胎囊の確認として定義した。108推奨のタイプ当該介入の条件付きの推奨 エビデンスの確実性弱合意率92.9%(13/14名)3) 採択された論文本CQに対する文献検索の結果,PubMed235編,Cochrane61編,医中誌106編の計402編がスクリーニング対象となり,2回のスクリーニングを経て抽出された24編がシステマティックレビューの対象となった。4) アウトカムごとのシステマティックレビュー結果 1 臨床的妊娠率  抽出された文献は観察研究7編1-7),既存のシステマティックレビュー10編8-17)であり,RCTは抽出されなかった。観察研究7編のうち1編は,SPI(thesubsequentpregnancyindex)で術後妊娠率を比較し,SPI8点以上で有意に臨床的妊娠率が上昇した。観察研究6編での臨床的妊娠率は,5編で18〜44%で,1編では88.3%と高かった。既存のシステマティックレビューでの臨床的妊娠率は20〜66%であった。観察研究とシステマティックレビューともに広汎子宮頸部摘出術以外の治療と比較した文献はなかった。検討された広汎子宮頸部推 奨挙児希望のⅠA2期,ⅠB1期の子宮頸がん患者に対して,広汎子宮頸部摘出術を行うことを条件付きで推奨する。推奨の解説挙児希望のある子宮頸がん患者に対する広汎子宮頸部摘出術は,ⅠA2期〜ⅠB1期の扁平上皮癌または腺癌においては腫瘍学的アウトカムを担保しながら妊孕性を温存することが可能だが,ⅡA期については現時点でエビデンスが十分ではなく推奨されない。広汎子宮頸部摘出術は続発する不妊症や流早産などの周産期合併症が増加することに留意する必要があり,生殖医療施設や周産期母子医療センターと緊密な連携が可能な体制のもとでの実施が望まれる。1) 本CQの背景本邦においては,若年の子宮頸がんの罹患率が増加しており,根治性を確保しながら妊孕性を温存する治療法のニーズは依然として高いと考えられる。本CQでは,将来の挙児を希望する子宮頸がん患者の中で,広汎子宮頸部摘出術はどのような患者に推奨されるか,有効性や安全性あるいは問題点を明らかにすることを目的とした。2) アウトカムの設定本CQでは,挙児を希望する子宮頸がん患者を対象に,広汎子宮頸部摘出術と広汎子宮頸部摘出術以外の治療の2群間で比較した際の「臨床的妊娠率」「出生率」「無病生存期間」「全生存期間」「周術期合併症の発生率」「周産期合併症の発生率」「費用対効果」「患者・市民の価値観・希望,QOL」の8項目をアウトカムとして設定し,システマティックレビューの評価対象とした。女性生殖器CQ1挙児希望のⅠA2期,ⅠB期,ⅡA期の子宮頸がん患者に対して,広汎子宮頸部摘出術は推奨されるか?

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