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女性生殖器109摘出術の術式(開腹,腟式,腹腔鏡,ロボット支援)が混在しており,それぞれの術式ごとに臨床的妊娠率を算出している文献や術式間で比較した文献が多くみられた。システマティックレビューには円錐切除術を含む文献が2編あり,円錐切除術例を除外して結果を算出する必要がある。エビデンスの確実性:B(中) 2 出生率  抽出された文献は観察研究6編1-6),既存のシステマティックレビュー7編8-14)であり,RCTは抽出されなかった。観察研究6編における出生率(生児獲得数/妊娠数)は65〜70%と比較的高かった。既存のシステマティックレビュー7編での出生率は26〜75%とばらつきを認めた。文献内での出生率の算出が,生児獲得数/妊娠を試みた症例数で算出したデータも含まれており,統一する必要があると思われる。観察研究とシステマティックレビューともに広汎子宮頸部摘出術以外の治療と比較した文献はなかった。検討された広汎子宮頸部摘出術の術式(開腹,腟式,腹腔鏡,ロボット支援)が混在しており,それぞれの術式ごとに出生率を算出している文献や術式間で比較した文献が多くみられた。システマティックレビューには円錐切除術を含む文献が3編あり,円錐切除術例を除外して結果を算出する必要がある。エビデンスの確実性:B(中) 3 無病生存期間  無病生存期間をエンドポイントとした報告のうち7編の後方視的コホート研究1,3,4,6,18-20)と2編のメタアナリシス8,12)が抽出された。広汎子宮全摘出術と広汎子宮頸部摘出術を比較した報告が3編含まれており,これらはエンドポイントに直接性がある文献であると考えられる。抽出された報告はすべて後方視的研究であり単群研究(3編)も含まれていることを考慮し,本アウトカムに対する推奨レベルを決定した。Prodromidouら12)は,子宮頸がん(扁平上皮癌,腺癌,腺扁平上皮癌),ⅠA2〜ⅠB期の生殖可能年齢の患者に対して,324例の開腹広汎子宮頸部摘出術(ART)と516例の開腹広汎子宮全摘出術(ARH)を解析したメタアナリシスの中で両群の5年無病生存期間(OR1.08,95%CI0.52-2.25,p=0.84)および再発率(OR0.82,95%CI0.27-1.46,p=0.28)に有意差は認められなかったと報告している。同様に,Guoら3)はⅠA2〜ⅠB1期に対するART群およびARH群を後方視的に比較し,ART群は4例(2.9%),RH群は8例(4.6%)の再発を認めたが統計学的有意差は認められなかった(p=0.444)と報告している。Yoshinoら1)も同様の2群を比較し5年無病生存期間に有意差はなかった(p=0.42)と報告している。これらの報告からARTとARHは同等な治療効果があると考えられる。広汎子宮頸部摘出術(RT)を術式別(ART,経腟広汎子宮頸部摘出術:VRT,腹腔鏡下広汎子宮頸部摘出術:LRT)に計2,566例を比較したメタアナリシス12)では,ART群,VRT群,LRT群の無再発期間に有意差はないと報告している。同様にSalvoら18)はART群,LRT群を比較し,4.5年無再発生存率がART群94.3%(95%CI91.6-97.0)とLRT群91.5%(95%CI87.6-95.6)に比較して統計学的有意差はない(p=0.37)と報告している。一方,ART例に再発はみられなかったが,VRT例は再発率が有意に高く(p=0.035),また腫瘍径が2cmより大きい場合は2cm以下と比較し有意に再発率が高かった(11.6%vs.2.4%,p<0.05)との報告がある4)。同様にLRT例を後方視的に検討したParkら20)の報告では腫瘍径2cm以上(p=0.039)および深い間質浸潤(p=0.016)は有意に予後不良因子であったと報告している。Liら19)は333例のART群を後方視的に検討したが,腫瘍径は予後因子とならず組織型(腺扁平上皮癌)のみが有意な予後不良因子(p<0.05)であったと報告している。上記のように,広汎子宮頸部摘出術の治療効果については一貫性がみられるが,その術式を比較した報告では術式別に異なるリスクが報告されている。概ね,広汎子宮頸部摘出術は広汎子宮全摘出術に劣らない腫瘍学的予後が示されているが,年齢(40歳,45歳),組織型(腺扁平上皮癌),腫瘍径(2cm),術式(腟式,腹式,低侵襲手術)および術前・術後補助療法(術前化学療法の安全性,中リスク因子数,化学療法レジメン・サイクル数)についてはCQで想定される設定内容を含めて検討す

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