第10章ロボット支援手術126 1) Moawad G, Liu E, Song C, et al. Movement to outpatient hysterectomy for benign indications in the United States, 2008-2014. PLoS One. 2017; 12: e0188812〔PMID: 29190666〕(OS) 内視鏡下の子宮全摘出術は1988年に米国のReichらにより初めて行われ,2008~2014年に米国で行われた良性疾患を適応とする子宮全摘出術527,964件に関する横断研究によると,ロボット支援下単純子宮全摘出術(robot-assisted hysterectomy:RAH)の割合は,6年間で2.8%から29.3%に増加していた1)。一方で,開腹手術の割合は44.5%から25.3%に減少したが腹腔鏡手術については変化がなく,このことから米国においてロボット支援手術は開腹手術を回避できる低侵襲手術のオプションとして認識されている。 近年,外科系のロボット支援手術は世界的に増加し,特にIntuitive社のダヴィンチサージカルシステムの導入は7,000台を超えている。本邦では,2009年にダヴィンチが医療機器として薬機法で承認されたことを機にロボット支援手術の実施が可能になった。2018年に良性疾患に対するロボット支援手術が保険収載された。現在では複数の医療機器メーカーがロボット支援機器を開発してきており,hinotori™(メディカロイド社),Hugo™(Medtronic社)などが既に本邦で使用可能となり,今後も他社製品が使用可能となると考えられる。本邦では腹腔鏡手術と比較したロボット支援手術の有用性を評価した報告は少ないが,国外において有効性や安全性に関する報告が多くなされている。 本章では良性子宮疾患および骨盤臓器脱に対してのロボット支援手術についてCQを作成し,これらの国外の報告を参照して解説する。また,これらの報告はほとんどがダヴィンチサージカルシステムによって実施された手術を対象としており,今後のサージカルシステムの向上により改訂される可能性に留意願いたい。文 献腹腔鏡・ロボット支援手術編 ―良性疾患 総 説
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