適切な症例選択のもとで,ロボット支援下単純子宮全摘出術を推奨する。CQ 18 127ステートメント推奨度 1(↑↑) エビデンスレベル B 合意率 90%(26/29人)CQ18-1腹腔鏡下単純子宮全摘出術と比較して有用か?»» 術中出血量は少なく入院期間は同等であり有用であるが,手術時間は症例や術者の技量に影響される。 269,728人(子宮全摘出術群265,100人,子宮筋腫核出術群1,721人,子宮内膜症治療群1,527人,骨盤臓器脱群1,380人)を対象としたシステマティックレビューでは1),子宮全摘出術に関する2つのRCTにおいてロボット支援下単純子宮全摘出術(RAH)は腹腔鏡下単純子宮全摘出術(laparoscopic hysterectomy:LH)と比較して手術時間が延長していた 2,3)。一方,RAHではLHと比較して手術時間が短縮したとの報告もある4,5)。この背景には術者の技術的な要因や選択された症例が関連するためと考えられる。術中出血量はRAHが少ないと報告されているものもあるが4,5),有意差がないとする報告もある 2,6-9)。以上より,RAHはLHと比較して症例背景や術者の熟練度により,手術時間は同等で出血量が減少する可能性がある。 入院期間については,ほとんどのメタ解析やRCTでRAHとLHに差はないことが示されているが2, 5,8),RAHがLHに優るとするメタ解析6)や後方視的コホート研究 9-13)も散見される。CQ18-2腹腔鏡下単純子宮全摘出術と比較して合併症の発生率は?»» 術中および術後合併症の発生率に差はないが,ロボット支援手術特有の合併症がある。 米国で2007~2010年に行われた良性疾患を適応とする子宮全摘出術264,758件に対するコホート研究によると,RAHの周術期合併症発生率は5.5%であり,LHの5.3%と同等であった。RAH[最終会議の論点] ガイドライン委員会において,腹腔鏡下単純子宮全摘出術(☞CQ13)と同様に推奨度1と決定された(☞腹腔鏡手術とロボット支援手術の同等性に関してはBQ6を参照)。しかし解説文にあるように,ロボット支援手術における手術成績やコストなどの問題や,現時点では本術式は国内で限定的に実施されていることから,推奨度2がふさわしいのではないかとの意見もあった。CQ 18良性子宮疾患に対して,ロボット支援下単純子宮全摘出術は推奨されるか?ロボット支援手術
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