蛋白質合成阻害薬には,アミノグリコシド系,テトラサイクリン系,マク
ロライド系,クロラムフェニコール系抗菌薬が含まれるが,アミノグリコシ
ド系抗菌薬は殺菌作用が強く,濃度依存性で,post-antibiotic effect(PAE)

(後述)に優れているとされる。一方,テトラサイクリン系,マクロライド

系,クロラムフェニコール系抗菌薬は殺菌作用が弱く静菌的である。

核酸合成阻害薬

 核酸合成阻害薬の代表はフルオロキノロン系抗菌薬とリファンピシンであ
る。
 核酸合成阻害薬は細菌の細胞質内へと移行して作用し,フルオロキノロン
系抗菌薬ではDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼIVに結合し(

図4

),

リファンピシンではDNA依存性RNAポリメラーゼに結合してRNA合成を
阻害する。

葉酸合成阻害薬

 葉酸合成阻害薬の代表は,スルファミン類のST合剤であり,細菌の葉酸
合成系を阻害することで作用するとされている。

35

A.抗菌点眼薬を理解するための基礎知識

34

第2章 感染症治療薬

トポイソメラーゼⅣ

活性阻害

DNAジャイレース

活性阻害

DNA脱連結が抑制さ
れるためDNA合成・
複製が完了されない

超らせんが解消されな
いためDNA合成・複
製が阻害される

菌増殖阻止

フルオロキノロン系

抗菌薬

細菌細胞内DNA

細菌細胞内DNA

フルオロキノロン系抗菌薬の作用部位

フルオロキノロン系抗菌薬は,DNA合成酵素であるDNAジャイレースおよびトポイソ
メラーゼⅣに作用してDNAの合成を抑制する。

図4