て、検索で見つからないようにしていました。だから見られ方は相当気にしましたね。いまはまったくありませんが。173坪田:経済的な不安はありませんでしたか?石見:医師のライセンスのいいところで、たとえば病院で当直するだけである程度収入を得ることはできます。経済的な不安があるにはありますが、土日もやれば何とか生活はできると思っていましたので、それほど不安はありませんでした。坪田:それは面白いですね。起業したみなさんが言うのは、医師こそセーフティネットがあるから起業に向いていると。先生もそう思いますか?石見:起業を目的化してはいけませんが、それはあると思います。はじめはサイドビジネスという感覚がありましたが、途中から人生を賭けています。ただ、セーフティネットがあるからこそ、起業が目的化しやすい。坪田先生がおっしゃったのは、壮大な事業を国単位で考えてつくり上げる人は、気軽ではいけないということですよね。想いが大事で、それがないと仲間がつくれないので、それを大事にしたほうがいいと医学生や医師には伝えたいですね。坪田:そう思いますか? 私は逆に医師は真面目すぎて失敗してはいけないと考える人が多く、もっとフェイル・ファースト、フェイル・チープでやればいいと思っているのです。軽い気持ちで起業して失敗すると、たいへんさがわかるし、人生で何をやりたいのか自分に向き合う。そうしたプロセスで一皮剥けたときに、すごく成熟すると思うのです。何もやらなければ、やらないままで終わってしまうのではないでしょうか?石見:たしかにそうですね。坪田:チャラチャラしている人もいますが、その人もやっていくうちに本物になってくるかもしれない。だからこそ、起業家を志す人のコミュニティができたほうがいいと思っているのです。石見:私は医師の起業家の走りなので、当初の周りの付き合いはIT起業家ばかりでした。彼らの中にはノリで起業した人もいて、だから逆にア
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