2-11
保存的治療
27
総
論
表10 嚥下内視鏡検査の異常への主な対処法
内視鏡所見の異常
対処法
方法と効果
早期咽頭流入
食形態の工夫
頸部前屈位
喉頭流入しにくい形態
嚥下運動まで喉頭蓋谷に食塊を貯める
嚥下反射の惹起遅延頸部前屈位
食形態の工夫
嚥下反射惹起の促通
thermal-tactile
stimulation
感覚刺激の増大
喉頭蓋谷に食塊を貯める
咽頭流入のタイミングを調整
前口蓋弓を冷圧刺激し嚥下反射の惹起を促す
刺激を強くして嚥下反射の誘発を促す
咽頭残留
複数回嚥下
うなずき嚥下
横向き交互嚥下
交互嚥下
複数回の嚥下を行い,残留物の送り込みを促す
反動をつけてうなずきながら嚥下する
嚥下した後に左右交互に横を向いてさらに嚥下する
固形物と液体
/
ゼリーなど物性の異なる食物を交互に
嚥下する
喉頭流入
頸部前屈位
息こらえ嚥下
喉頭蓋谷に食塊を貯める
喉頭閉鎖を補強する
誤 嚥
排痰訓練,ハッフィング法
呼吸パターン訓練
誤嚥した食塊や喉頭に残留した食塊を排出する
嚥下後に呼気で誤嚥を防ぐ
表11 口腔・咽頭期の異常所見と主な嚥下訓練法
嚥下障害の病態
対処法
期待される効果
舌運動障害
リクライニング(後屈位)
重力を利用して食塊を咽頭へ移送する
舌根運動障害
構音訓練,舌の可動域訓練
アンカー強調嚥下法
*1
tongue holding法
*2
舌運動の功緻性と舌圧の増大
舌根運動の補強
咽頭後壁運動の強化
鼻咽腔閉鎖不全
ブローイング法
軟口蓋挙上の補強
喉頭閉鎖不全
息こらえ嚥下
息こらえ,発声,咳嗽の訓練による喉頭閉鎖の補強
喉頭挙上障害
Mendelsohn法
頭部挙上訓練(Shaker法
*3
)
強い息こらえ嚥下
頸部前屈位・頬杖位
喉頭挙上時間の延長
舌骨上筋群の強化による喉頭の牽引
喉頭挙上の補強
喉頭挙上位やその左右差の補正
食道入口部
開大障害
頭部挙上訓練(Shaker法
*3
)
食道バルーン法
頸部回旋位
顎突出嚥下法
舌骨上筋群の強化による喉頭の牽引
食道入口部の開大
食道入口部静止圧の低下
喉頭牽引による随意的な食道入口部の開大
喉頭麻痺・咽頭
麻痺
頸部回旋位
側臥位・側屈位
息こらえ嚥下
食塊の健側咽頭への誘導
重力に配慮した食塊移送
喉頭閉鎖の補強
*1 アンカー強調嚥下法:舌可動部が硬口蓋に接触することを意識化する。
*2 tongue holding法:舌尖部を歯で挟んで固定し空嚥下する。
*3 Shaker法:仰臥位にて,肩を床から離さないようにしながら頭部を持ち上げてつま先を見るように
する。