AA耳鳴りによる苦痛な状態や症状が軽くなること、気になることが少なくなることを目標にします。(推奨度1B)questionQQanswer耳鳴りに対する治療は、耳鳴りそのものに対する治療と、耳鳴りによって生じる苦痛に対する治療になります。このため治療を行うときには、耳鳴りの原因や耳鳴りに対する苦痛度や心理状態により治療の目標を定めていくことになります1)。何らかの疾患に伴い耳鳴りが生じている場合、その原因疾患を治療することで耳鳴りも改善することがあります。しかし、耳鳴りそのものに対して、耳鳴りを消すことができるような薬剤や治療方法は、まだ完全にはわかっていません。このため、耳鳴りを消すことを治療の目標とすると治療が困難となってしまいます。そこで、耳鳴りの治療として、患者さんが耳鳴りによって気になっていることや困っていることを解決、改善していく必要があります。例えば、耳鳴りを自覚すると病気が心配で精神的に不安定になり、いらいらや不安が出現します。不安が強くなれば徐々に精神状態が悪化してしまい、抑うつとなることもあります。さらに悪化すれば、それに伴って睡眠障害など生活障害が悪化していくこともあります。このような悪循環を断つために、さまざまな治療が必要になります。つまり、治療の対象は耳鳴りによる心理的苦痛や生活障害であり、治療の目標はその障害を改善させることになります2)。もし耳鳴りによる苦痛がなく、気にならない状態であれば必ずしも治療を必要としないということにもなります。耳鳴りを消すことはまだ困難ですが、耳鳴りに伴う苦痛や障害が軽くなること、気になることが少なくなるようにすることが重要です。参考文献1)日本聴覚医学会編:耳鳴診療ガイドライン2019年版.金原出版.2019.2)新田清一:耳鳴のリハビリテーション.耳喉頭頸89,682-689,2017.62耳鳴りの治療の目標はなんですか?4-2
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