AA慢性の耳鳴りに対する治療には、耳鳴りの(教育的)カウンセリング、薬物療法、音響療法、心理療法(精神療法)、手術療法、経頭蓋磁気刺激(transcranialmagneticstimulation:TMS)、レーザー治療があります。これらの内、治療効果のエビデンスが比較的多く推奨される治療は、カウンセリング、音響療法、心理療法(精神療法)です。questionQQanswer耳鳴りの(教育的)カウンセリングでは耳鳴りに関連する事柄の説明を行います。耳鳴りに関する不安や疑問に応えることによって、不安などをやわらげるカウンセリング効果を期待します。聞こえのしくみ、病気の有無、耳鳴りが発生するメカニズム、耳鳴りが悪くなるメカニズム、治療方法、治療目標、一般的な経過などについて説明します。耳鳴りに対する不安が強い場合や、重症の耳鳴りの患者さんに対しては特に重要です。アメリカ1)など海外のガイドラインでも推奨されています。(推奨度1B)音響療法は第6章(p.88)で詳しく説明がありますが、さまざまな外部の音を用いることで、耳鳴りへの注意をそらす効果が期待されています。近年、上に述べた(教育的)カウンセリングと併せてTRT(TinnitusRetrainingTherapy)2)としても用いられています。(推奨度2C)難聴がある場合に補聴器を積極的に使うことは、特に推奨されています。(推奨度1A)心理療法(精神療法)は第8章(p.108)で詳しく説明がありますが、認知行動療法の効果が証明されています3)。(推奨度1A)日本では、対応できる医療施設はまだ多くありませんが、徐々に増えてきています。薬物療法は、耳鳴りの治療効果についてはエビデンスが低く(効果を示す証拠が少なく)、副作用の問題もあります。耳鳴りに伴う不安、うつ症状、不眠がみられるようであれば、必要に応じて薬物治療が考慮されます。(推奨度2C)63耳鳴りの治療にはどのようなものがありますか?Q4-34-3
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