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前庭神経炎は,難聴,耳鳴,耳閉感などの聴覚症状を伴わない突発性の回転性めまい症状を来す疾患である。これまで,厚生省の「前庭機能異常に関する調査研究班」,厚生労働省の「難治性平衡機能障害に関する調査研究班」,「難治性めまい疾患に関する研究班」,AMED研究班により研究が行われてきた。AMED研究班により,「前庭神経炎診療ガイドライン2018年版」(案)が作成された。これに基づいて一般社団法人日本めまい平衡医学会が,本診療ガイドラインを作成した。本診療ガイドラインは,あくまで前庭神経炎の診療を支援するためのものであり,診療を拘束するものではない。本診療ガイドラインの内容を,臨床の現場でどのように用いるかは,医師の専門的知識と経験をもとに,患者の希望や価値観を考慮して判断されるものである。有効性を示す高いエビデンスがないことは,その治療が無効であることを意味しているわけではなく,また行ってはならないことを意味しているわけではない。しかし,エビデンスのない治療を行う場合には,エビデンスのある推奨される治療を行わなかった合理的な配慮が必要である。なお,本診療ガイドラインの推奨事項は,法的根拠になるものではない。本診療ガイドラインの目的は,前庭神経炎の病態,診断,検査,治療,疫学を記載し,エビデンスに基づきガイドライン作成委員会のコンセンサスの得られた治療法を推奨することである。また,本診療ガイドラインは,前庭神経炎の診療の際に医師の臨床判断を支援するために活用され,また患者の診断と治療に有益となることを目標とする。本診療ガイドラインは,前庭神経炎の診療に関わる主に耳鼻咽喉科医を利用者として想定している。また本診療ガイドラインは,医師以外の医療従事者(看護師,臨床検査技師,言語聴覚士など)および患者にとって,前庭神経炎に関する知識を深めるために利用することも想定している。64.作成の背景と沿革5.作成目的ならびに目標6.利用者

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