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推奨解説・抗めまい薬の前庭神経炎急性期を対象とした有効性について,エビデンスに乏しい。しかしベタヒスチンは末梢性めまいに対して有効である可能性があるので考慮してもよい。【推奨度C1】・前庭神経炎急性期,シンナリジン20mgとジメンヒドリナート40mgの併用は症状・日常生活動作の改善において有効である可能性がある。ただしシンナリジンは本邦では発売中止となった。【推奨度B】Nauta,2014は,前庭性めまいに対するベタヒスチンの有効性を,1966〜2010年の12のRCTについて,めまい症状の治療における研究者の総合意見を臨床エンドポイント(clini-calend-point)として,メタアナリシスを行った。投与量は16〜48mg/日,投与期間は14日〜3ヵ月であった。前庭性めまい患者について,ベタヒスチン投与群はプラセボ投与群に対し,オッズ比(oddsratio:OR)=2.58[95%信頼区間(confidenceinterval:CI)=1.67-3.99]であった。サブグループ解析について,前庭性めまい患者ではOR=2.23(95%CI=1.20-4.14)であった。よってベタヒスチンは前庭性めまいにおいて,治療の有効性のエビデンスが示された1)。ただし本研究の対象には前庭神経炎急性期以外の末梢性めまいが含まれる。DellaPepa,etal.,2006は,メニエール病患者を除いた,クプラ結石症,半規管結石症,椎骨脳底動脈循環不全(vertebrobasilarinsufficiency:VBI)を含むめまい症患者(急性期および慢性期の両者が含まれる)を対象とした,ベタヒスチンの有効性について,7つのRCT文献367患者において,患者あるいは医師による「改善」か「非改善」の総合判断をエンドポイントとして,メタアナリシスを行った。ベタヒスチン投与群はプラセボ投与群に対し,OR=3.52(95%CI=2.40-5.18),相対危険度(relativerisk:RR)=1.78(95%CI=1.48-2.13)であり,ベタヒスチンが有効であることを報告している2)。ただし,本研究の対象には前庭神経炎急性期以外の,クプラ結石症,半規管結石症,VBIなどが含まれる。RamosAlcocer,etal.,2015は,前庭神経炎を含む末梢性めまいに対するベタヒスチン治療についてレビューを行い,多くの研究でベタヒスチンの有効性が示された3)。さらに40年以上にわたる臨床使用において,ベタヒスチンは1日量8〜48mgの範囲の投与では,優れた安全特性を持つことが示された。3623.前庭神経炎の治療のClinicalQuestionCQ1急性期の前庭神経炎に抗めまい薬は有効か?

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