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4作成の背景と沿革5作成目的ならびに目標6利用者BPPVは,特定の頭位や頭位変換により誘発されるめまいを主徴とする代表的な末梢性めまい疾患である。特徴的な頭位または頭位変換眼振を認める。めまいの持続時間は1分以内のことが多い。また,めまいに聴覚症状が随伴しない。めまいが主訴の患者の約1/4がBPPVであり,疑い例も含めるとめまいが主訴の患者の40%以上がBPPVと推定され,最も頻度の高いめまい疾患である。そのため,BPPV診療の標準化と普遍化,および診療水準の向上を目標に,「良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン(医師用)」(BPPV診療ガイドライン2009年版)が日本めまい平衡医学会の学会誌である『EquilibriumResearch』にて発表された。その後,BPPV診療ガイドライン2009年版は広くBPPVの診療に用いられてきた。日本めまい平衡医学会がBPPV診療ガイドライン2009年版を改訂して作成したのが,『良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドライン2023年版』(本診療ガイドライン)である。本診療ガイドラインは,あくまでBPPVの診療を支援するためのものであり,診療を拘束するものではない。本診療ガイドラインの内容を,臨床の現場でどのように用いるかは,医師の専門的知識と経験をもとに,患者の希望や価値観を考慮して判断されるものである。有効性を示す高いエビデンスがないことは,その治療が無効であることを意味しているわけではなく,また行ってはならないことを意味しているわけでもない。しかし,エビデンスのない治療を行う場合には,エビデンスのある推奨される治療を行わなかった合理的な配慮が必要である。なお,本診療ガイドラインの推奨事項は,法的根拠になるものではない。本診療ガイドラインの目的は,BPPVの病態,疫学,診断,検査,治療を記載し,エビデンスに基づきガイドライン作成委員会のコンセンサスの得られた治療法を推奨することである。また,本診療ガイドラインは,BPPVの診療の際に医師の臨床判断を支援するために活用され,また患者の診断と治療に有益となることを目標とする。本診療ガイドラインは,BPPVの診療を専門的に行う耳鼻咽喉科医,神経内科医等を主な利用者として想定している。また本診療ガイドラインは,医師以外の医療従事者(看護師,臨床検査技師,言語聴覚士など)および患者にとって,BPPVに関する知識を深めるために10

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