1後半規管型BPPVに耳石置換法は有効か?推奨解説46CQ・後半規管型BPPVに耳石置換法は有効である【推奨度A】。代表的な耳石置換法であるEpley法は,無治療や偽Epley法と比較して頭位めまいや頭位変換眼振の消失を促進し,非特異的なBrandt-Daroff法よりも効果が高い。他の耳石置換法であるSemont法とGanz法の効果はEpley法と同等である。・Epley法を同日中に繰り返して行うことを考慮してもよいが,十分なエビデンスがない【推い。奨度C1】。一度のEpley法で高い効果が認められるので,繰り返しによる上乗せ効果は少な後半規管型BPPVに対する耳石置換法の有効性について,Epley法に関するランダム化比較試験のシステマティックレビューが行われている。Cochrane共同研究ではプラセボを対象とした11のランダム化比較試験での計745例におけるシステマティックレビューが行われた1-12)。めまいの自覚症状が完全に消失する割合をアウトカムとした5つのランダム化比較試験(273例)によると,Epley法は無治療もしくは偽Epley法と比べ,オッズ比が4.42[95%confidenceinterval(CI):2.62-7.44]であり,Epley法の有効性が示されている。さらにEpley法により症状が寛解した患者の割合は,21%から56%に増加していた。しかし,めまいの自覚症状をアウトカムとしてEpley法と他の耳石置換法を比較した報告はなかった。一方,Dix-Hallpike法による眼振の消失率をアウトカムとした8つのランダム化比較試験(507例)によると,Epley法は無治療もしくは偽Epley法と比べ,オッズ比が9.62(95%CI:6.0-15.42)であり,Epley法の有効性が示されている。同じアウトカムを用いてEpley法とSemont法を比較した2つのランダム化比較試験(117例)によると,両者の治療効果に差はなかった。Dispenza,etal.,2012は,後半規管型BPPV58例を対象にEpley法(27例)とGanz法(31例)を比較し,耳石置換法7日後の眼振消失率に差がなかったことを報告している4)。さらに,1回のみEpley法を行った治療と1日3回のBrandt-Daroff法を1週間行った治療を比較した報告(81例)によると,Epley法はBrandt-Daroff法と比べ,オッズ比が12.38(95%CI:4.32-35.47)であり,Epley法の有意に高い治療効果が示された。Zhang,etal.,2017は,Semont法に関する10のランダム化比較試験を対象にしたメタア26BPPVの治療のClinicalQuestion
元のページ ../index.html#8