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ナリシスを行った13)。めまいの改善率をアウトカムとしたランダム化比較試験では,Semont法は無治療と比べ,リスク比が2.60であり,Semont法の有効性が示された。また,Semont法と偽治療との比較でも,リスク比が4.89であり,Semont法の有効性が示されている。再発率をアウトカムにした検討では,Semont法は無治療と比べ,リスク比が0.11であり,Semont法を行った場合,無治療より再発率が低かった。また,Liu,etal.2016は,Semont法とEpley法に関する12のランダム化比較試験を対象にしたメタアナリシスを行い,Semont法とEpley法は1週間後と最終治療時のめまいの治癒率に差がなく,再発率も同等であったことを報告している14)。耳石置換法による重大な副作用は報告されていない。しかし,耳石置換法の施行中の嘔気の発症率は16.7〜32%と報告されている。さらに頸椎や腰部に異常がある症例に対しては,耳石置換法により神経症状が悪化する可能性がある。BPPVは自然軽快する疾患であることから,副作用のリスクがある症例には,耳石置換法を施行しなくてもよい。一度だけEpley法を行った群,同日中に頭位変換眼振が消失するまでEpley法を繰り返し行った群,同日中に頭位変換眼振が消失するまでEpley法を繰り返し行い,さらにもう一度Epley法を追加した群で,3日後の頭位変換眼振の消失率を比較したところ,頭位変換眼振消失後にもう一度Epley法を追加した群が94%と最も高かった。しかし,一度だけEpley法を行った群も86%と高値であり,統計学的な有意差はなかった。このことから,一度のEpley法で十分な効果があると考えられる15)。一度だけEpley法を行い,一週間後に頭位変換眼振が消失した症例のうち,Epley法の直後のDix-Hallpike法で眼振が消失していた割合は92%と高値であった。しかし,一週間後に頭位変換眼振が残存していた症例のうち,Epley法の直後のDix-Hallpike法で頭位変換眼振が認められていた割合は52%と低値であった16)。言い換えると,一度だけEpley法を行い,一週間後に頭位変換眼振が残存していた症例のうち,48%はEpley法の直後のDix-Hallpike法で頭位変換眼振が消失していた。このことから,Epley法の直後のDix-Hallpike法で頭位変換眼振の消失を確認しても,一週間後に治癒しているとは限らず,一週間後の治癒を予測することはできない。文献検索対象期間は2022年3月31日までとした。PubMed,CochraneLibraryでは,「benignparoxysmalpositionalvertigo」,「canalithrepositioningmaneuver」,「Epleymaneuver」「ModifiedEpleymaneuver」「Semontmaneuver」「Ganzmaneuver」をキーワードとして組み合わせて検索した。医学中央雑誌では「良性発作性頭位めまい症」,「耳石置換法」,「頭位治療」とその類義語をキーワードとして組み合わせて検索した。その結果,英語文献で478編を抽出した。和文文献では,会議録を除く176編を抽出した。それらの中からメタアナリシス10編,ランダム化比較試験35編を抽出した。さらに要旨のレビューを行い,3編を採用した。4726.BPPVの治療のClinicalQuestion文献の採用方法

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