作成の経緯・概要* 脊髄小脳(虫部,中間部)の最も重要な入力は脊髄からの体性感覚入力である。虫部からの出力は,室頂核を経て両側性に脳幹網様体と外側前庭神経核に投射し,体幹および四肢近位部の抗重力筋に強い影響を及ぼしている14,15)。第1章 1918 前庭リハビリテーションのメカニズム[参考文献] 1) Han BI, Song HS, Kim JS:Vestibular rehabilitation therapy:review of indications, mechanisms, and key exercises. J Clin Neurol 7:184-196, 2011. 2) Whitney SL, Alghwiri AA, Alghadir A:An overview of vestibular rehabilitation. In Volume eds Furman JM, Lempert T. Handb Clin Neurol 137. pp 187-205, Elsevier, Amsterdam, 2016.効果 姿勢の安定。運動 「足底で床からの感覚を意識しながら」立位で身体を安定させるようにする。閉脚→継足→単脚直立,開眼→閉眼,床→クッションの上で直立と,次第に負荷を加える。メカニズム 低下した前庭情報を体性感覚情報*で代行することにより,感覚情報の重み付けの変化を誘導する。一側末梢前庭障害患者の姿勢制御は急性期には体性感覚依存であるが,慢性期になると視覚依存になることが報告されている10,11)。姿勢制御が視覚依存になると,動きのある視覚刺激などによりめまいを訴え,姿勢が不安定になる12)。足底の感覚に意識を集中させることにより中枢神経系でのsensory reweightingを誘導し,姿勢制御を視覚依存から体性感覚依存に変化させる13)。効果 姿勢の安定。運動 めまいを誘発する頭部や身体の動きを繰り返す。動きのある視覚刺激によりめまいを感じる場合,めまいを引き起こす視覚刺激を繰り返し受ける。メカニズム 慣れを誘導してめまい症状を軽減する。末梢前庭の反応性低下(response decline)と,中枢前庭系の脱感作(desensitization),統合(integration),再構築(reconstruction)が関与していると考えられている16-20)。効果 めまいに伴うQOLの低下を改善。18.5 感覚代行を誘導する平衡訓練18.6 慣れを誘導する平衡訓練
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