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3-1. メニエール病の診断基準本邦におけるメニエール病の診断基準は,1987年に日本めまい平衡医学会によりメニエール病診断基準が作成され 1),2017年に改訂された 2)。本ガイドラインのメニエール病の診断基準は,日本めまい平衡医学会のメニエール病診断基準2017年を用いる。本診断基準の特徴は,定型的なメニエール病の診断基準に加え,非定型例として,蝸牛型と前庭型を追加していることと,メニエール病の画像所見として,造影MRIで内リンパ水腫を認めたメニエール病確実例をメニエール病確定診断例としていることである。この診断基準は,行政用にも用いられ,特に,中耳加圧装置適正使用指針には,対象患者の診断に日本めまい平衡医学会のメニエール病診断基準2017年を用いることが記載されている。国際的なメニエール病の診断基準として,Bárány Societyにより2015年に提唱されたメニエール病診断基準も参考として併記する 3)。英文誌へ投稿する際にはこの診断基準を用いる。 1) メニエール病(Ménière’s disease)診断基準2017年A.症状1.めまい発作を反復する。めまいは誘因なく発症し,持続時間は10分程度から数時間程度。2.めまい発作に伴って難聴,耳鳴,耳閉感などの聴覚症状が変動する。3.第Ⅷ脳神経以外の神経症状がない。B.検査所見1. 純音聴力検査において感音難聴を認め,初期にはめまい発作に関連して聴力レベルの変動を認める。2. 平衡機能検査においてめまい発作に関連して水平性または水平回旋混合性眼振や体平衡障害などの内耳前庭障害の所見を認める。3.神経学的検査においてめまいに関連する第Ⅷ脳神経以外の障害を認めない。4. メニエール病と類似した難聴を伴うめまいを呈する内耳・後迷路性疾患,小脳,脳幹を中心とした中枢性疾患など,原因既知の疾患を除外できる。5.聴覚症状のある耳に造影MRIで内リンパ水腫を認める。⁃診断メニエール病確定診断例(Certain Ménière’s disease)A.症状の3項目を満たし,B.検査所見の5項目を満たしたもの。メニエール病確実例(Definite Ménière’s disease)A.症状の3項目を満たし,B.検査所見の1〜4の4項目を満たしたもの。20  第3章 メニエール病の診断

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