cc図1 血管肉腫の臨床像a.斑状病変b.結節病変c.潰瘍性病変d.斑状+結節病変の混在(最も多い)e.Stewart-Treves症候群aabbddeeわが国では日本皮膚外科学会のアンケート調査において,70歳以上,初診時の潰瘍形成,初診時の遠隔転移,初期治療として手術を施行しなかった例,切除マージンが1 cm未満,化学療法非施行群,で予後が悪い傾向にあった。ただ初期治療として手術を未施行の群では遠隔転移を生じている症例や高齢者が多く含まれており,遠隔転移例を除いて再分析したところ,手術施行の有無による予後の差はなかった14)。232 第2章 皮膚血管肉腫診療総論2.皮膚血管肉腫の診断2.1 臨床所見臨床的には浸潤や隆起のない境界不明瞭な紅斑,出血斑,紫斑として始まることが多く,初期では打ち身や外傷と区別が難しい場合もあり注意を要する。紫斑の境界は不明瞭で,組織内出血の量と時期を反映して黄褐色調(xanthochromic)〜赤色調〜紫色調となり多様である。進行すると局面や結節を形成し,しばしば易出血性となって壊死性痂皮や潰瘍を伴うようになる。さらに進行すると大型の易出血性腫瘤を形成する。紫斑性の斑状,結節性,潰瘍性病変がそれぞれ単独に出現することもあるが,多くの場合はさまざまな程度で混在してみられる(図1a〜d)。主病変から離
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