aabbccdd病変は組織学的には臨床的境界を超えて広がっていることが多く,好発部位の頭皮ではしばしば帽状腱膜を超えて深部方向にも浸潤する。2.3 分子生物学的異常血管肉腫における遺伝子異常については種々の研究がなされてきたが,最近ではPTPRB,PLCG1などの変異が一部の血管肉腫(それぞれ26%および9%)で見いだされMAPK経路の関与が推測されている39)。また,乳がんに対する放射線照射後や慢性リンパ浮腫に生じた二次性血管肉腫ではc-mycの増幅が全例に認められたと報告されている38) 40)。さらに融合遺伝子についても解析されており,Shimozonoらは25 例中9 例の血管肉腫症例からNUP160-SLC43A3融合遺伝子を検出した41)。本融合遺伝子は疾患特異性が高いとされ,遺伝子異常の誘因として紫外線によるDNA損傷が推察されている42)。図2 一般的な血管肉腫の病理組織(a)HE染色。比較的大型の紡錘形細胞が集塊となって増殖し裂隙状の管腔に赤血球が充満している(上方部分)。膠原線維間に,よりシャープな紡錘形腫瘍細胞が浸潤し,網目状の裂隙を構築し周囲に赤血球の血管外漏出が顕著である(下方部分)。免疫染色でCD31(b),CD34(c),D2-40(d)で血管およびリンパ管内皮細胞特異マーカーが共陽性。234 第2章 皮膚血管肉腫診療総論
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