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るため症例ごとに検討が必要である。パネル会議での投票結果:1回目 介入することを強く推奨する:3/9   (投票者数:9名)    介入することを弱く推奨する:6/9 2回目 介入することを強く推奨する:0/9    介入することを弱く推奨する:9/9 推奨度2D行うことを弱く推奨,エビデンスの確実性:とても弱い▪背景,この問題の優先度菌状息肉症は放射線感受性が高く,電子線を用いた放射線療法は効果的である。他治療に抵抗性の残存病変や治療後の新規病変など,時期を問わず局所的腫瘤性病変に対して用いられ,汎発性の局面病変には全身皮膚電子線照射の選択肢もある。従来,総線量20〜40 Gyで,皮膚障害を考慮し一回線量を低くした電子線照射が標準的であったが,総線量4〜20 Gyといった,いわゆる低線量の寡分割照射が近年報告されるようになった。どちらの線量が推奨されるかについて明確になれば,放射線療法を提示する際の大きな助けになると期待される。低線量と従来線量をRCTや前向きコホートで比較検討した研究はなかった。局所ではなく,全身電子線照射ではあるが,比較検討可能な後ろ向きコホート研究が2件あった。奏効率はHarrisonらの文献では5〜<10 Gy 90%,10〜<20 Gy 98%,20〜<30 Gy 97%,30〜36 Gy 94%であったが統計解析はされていない173)。もう一方のReddyらの文献では低線量(6〜<20 Gy)と従来線量(20〜<32 Gy)の奏効率に有意差がなく(P=0.4),同等の成績であった285)。Reddyらの文献では奏効期間はCR:6〜<20 Gy 27カ月,20〜<32 Gy 35.3カ月と従来線量で長かった。全生存期間に関しては5年生存率は低線量38%,従来線量68%と従来線量で優位であったが有意差はなかった(P=0.10)285)。また,Harrisonらの文献では統計は解析されていないが,10〜<20 Gyの全生存期間は20〜<30 Gyと同等であった173)。以上より,従来線量が有意差をもって全生存期間や奏効率を上回るデータはなかった。ただし,奏効期間は一つの研究で統計はとられていないものの,CR期間が6〜<20 Gyが27カ月に対し,20〜<32 Gyでは35.3カ月であり,従来線量の方が長かった285)。有害事象は直接比較したものはなく,低線量では急性期症状の報告が主体であり,従来線量と比較して有害事象が少ないとされていた。線量依存的に低線量の方が発現率は低いと考えられ,低線量の単一線量(10 Gyもしくは12 Gy)を行っ330 第4章 皮膚リンパ腫診療ガイドライン クリニカルクエスチョン(CQ)と推奨推奨:菌状息肉症の局面性・腫瘤性病変に対して,全身または病変局所の低線量(総線量4〜20 Gy)電子線照射を提案する。付帯事項: 厚みのある腫瘤に関しては電子線よりもX線の方が,効果が期待できるケースがあ▪解説(エビデンスの要約)CQ 3菌状息肉症の局面性・腫瘤性病変に対して,全身または病変局所の低線量(総線量4〜20 Gy)電子線照射は,従来線量(総線量20〜40 Gy)と比べて推奨できるか?

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