皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版について 11.本ガイドラインの適応が想定される対象者,および想定される利用対象者本ガイドラインは対象となる皮膚悪性腫瘍の存在が疑われる患者および診断された患者を対象集団とした。対象の性別,病期や重症度,合併症の有無などは限定せず,臨床現場で広く遭遇するであろう患者状況を想定して作成した。なお,皮膚以外の臓器原発の場合は,本ガイドラインの範囲外とした。想定される利用者は,対象となる皮膚悪性腫瘍診療にあたるすべての臨床医,看護師,薬剤師,その他の医療従事者を含む医療チーム,医療政策決定者である。また,一般臨床医が対象となる皮膚悪性腫瘍に効率的かつ適切に対処することの一助となることにも配慮した。さらには,対象となる皮膚悪性腫瘍やそれが疑われる患者・家族をはじめ,対象となる皮膚悪性腫瘍診療に関心を有する国内外の医療・福祉・教育・保険・出版・報道等の関係者,他分野のガイドライン作成者,皮膚悪性腫瘍診療に関わる行政・立法・司法機関等においても利用が想定される。特に対象となる皮膚悪性腫瘍の患者・家族には疾患の理解の一助となり,医療従事者と医療を受ける立場の方々の相互の理解・納得のもとに,より好ましい医療が選択され,実行されることを期待する。本改訂版出版後には,患者・家族・一般市民向けの本ガイドラインの解説書も作成する予定である。2.本ガイドラインを使用する場合の注意事項ガイドラインは作成時点での最も標準的な診療指針であるが,実際の診療行為を強制または制限するものではなく, 最終的には施設の状況(人員,医療従事者の経験,設備・機器など)や個々の患者の個別性を加味して,対処法を患者・家族と,診療にあたる医師やその他の医療者等との間で,十分な話し合いの上で決定すべきである。また,ガイドラインに記載されている内容に関しては,日本皮膚科学会が責任を負うものとするが, 診療結果についての責任は主治医,担当医等の直接の診療担当者に帰属すべきもので,日本皮膚科学会およびガイドライン改訂委員会は責任を負わない。なお,本文中の薬剤および薬剤使用量などは,一部本邦で承認されていない海外臨床試験での用法・用量なども含んでいる。3.システマティックレビューの方法「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017」の手順に従い,付随する作業用テンプレートを用いた。3.1 個々の報告に対する評価(STEP 1)まず個々のCQを担当するシステマティックレビューチームは,アウトカムごとにまとめられた文献集合の個々の論文について,研究デザイン(介入研究,観察研究)ごとにバイアスリスク(選択バイアス,実行バイアス,検出バイアス,症例減少バイアス,その他のバイアス),非直接性(研究対象集団の違い,介入の違い,比較の違い,アウトカム測定の違い)を評価し,対象人数を抽出した。効果指標の提示方法が異なる場合は,リスク比,リスク差などに統一し,エビデンス総皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版について
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