CQ3推 奨mRSSは皮膚硬化の半定量的評価に有用である。推奨度:1 エビデンスレベル:B[合意度8.5]症,晩発性皮膚ポルフィリン症,などが鑑別に挙がる。四肢や体幹の皮膚硬化がみられる疾患としては,generalized morphea,好酸球性筋膜炎,Werner症候群,POEMS症候群(Polyneuropathy,Organomegaly,Endocrinopathy,M-protein,Skin change),Scleromyxoedema,成年性浮腫性硬化症,Nephrogenic systemic fibrosis,糖尿病による皮膚硬化,慢性移植片対宿主病(GVHD),ヒトアジュバント病などがある。環境中や仕事で扱う化学物質,ある種の薬剤によっても強皮症に類似した皮膚硬化が誘導されることがある。化学物質としては,塩化ビニル,エポキシ樹脂,有機溶媒(ベンゼン,トルエン,トリクロロエチレンなど),シリカなどが以前より知られている。薬剤としては,ブレオマイシン,ペプレオマイシン,シスプラチン,タキソール,タキソテール,ゲムシタビンなどの抗がん薬,ペンタゾシン,最近は免疫チェックポイント阻害薬などが知られている。レイノー現象は全身性強皮症の初発症状として重要であるが,全身性エリテマトーデスをはじめとする他の膠原病でもしばしばみられる。一次性のレイノー病か,膠原病,閉塞性動脈疾患,血管攣縮性疾患,内分泌疾患や悪性腫瘍などに伴う二次性のレイノー現象かを鑑別する必要がある。解説 皮膚硬化を正確に定量する方法は確立したものはなく,機器を用いた定量法はこれまでいくつか報告されているが再現性に乏しく,広く普及されたものはない。触診で皮膚硬化を半定量的にスコア化したmodified Rodnan total skin thickness score(mRSS)が国際的にも広く用いられており,現在最も有用な皮膚硬化の判定方法である1)。これは,身体を17の部位(両手指,両手背,両前腕,両上腕,顔,前胸部,腹部,両大腿,両下腿,両足背)に分け,皮膚硬化を0〜3の4段階で評価する(0=正常,1=軽度,2=中等度,3=高度)。総計は0〜51となる。スコアをとる際は,被検者の皮膚を検者の両拇指で挟み,皮膚の厚さと下床との可動性を評価する。皮膚が下床との可動性をまったく欠く場合を3,明瞭な皮膚硬化はないがやや厚ぼったく感じられるものを1とし,その中間を2と判定する。mRSSによる部位ごとの皮膚硬化の判定は以下のように行う。手指:近位指節間関節(PIP関節)と中手指節間関節(MP関節)の間の指背で評価する。前腕・上腕:屈側よりも伸側での皮膚硬化を重視して評価する。顔:前額部ではなく頬部で評価する。30 3診療ガイドライン皮膚硬化の判定にmodified Rodnan total skin thickness score(mRSS)は有用か?
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