CQ2推 奨SScの骨粗鬆症の予防・治療のために活性型ビタミンD製剤を併用することを推奨する。推奨度:1 エビデンスレベル:B[合意度8.5]これらを勘案すると,SScの診療において骨密度を定期的に行い,骨量減少・骨粗鬆症を早期に評価し,適切な治療介入を選択する必要があると考えられる。また,SScの病態・背景因子の多様性を考慮すると,骨量減少のリスクが高い症例を特に厳密にモニターすることが効率的と考えられ,リスク因子の同定が試みられている。SScの低骨密度との関連性が検討されている因子としては,骨粗鬆症の家族歴,年齢,閉経,低体重・低body mass index(BMI),皮膚硬化のタイプ(びまん皮膚硬化型),臓器障害,低ビタミンD血症,カルシノーシス,GC使用などがあるが,結果は一致しないことも多い。びまん皮膚硬化型SSc(dcSSc)と限局皮膚硬化型SSc(lcSSc)の比較では,dcSScにおいて腰椎・大腿骨頸部ともにWMDが低い(−0.06,−0.09)ことがメタ解析で示されている2)。Chuealeeらは,低BMI(18.5 kg/m2未満)が腰椎・大腿骨頸部の骨量減少(それぞれOR 7.78,4.54)に与える影響が高いことを報告し11)。Mokらも低BMIが股・大腿骨頸部の骨量減少と相関することを示したが,腰椎BMDとは関連せず,またGC使用歴や罹病期間,重症度も骨量減少には影響しなかった13)。ただし,GC使用が骨量に影響しなかった理由としては使用率が低く,使用期間が短いことが影響したことが示唆されている。骨折をアウトカムとしたコホート研究での多変量解析では,高齢(HR 1.09),女性(HR 4.88),PSL 7.5 mgを超えた使用(HR 4.75),経静脈的メトクロプラミド使用を要する腸管の運動低下(HR 1.63)がリスク因子として抽出されている12)。SScの診療においては,閉経,GC使用などの一般的な骨粗鬆症のリスクの存在に加え,閉経前の女性や,dcSScにおいては特に慎重な骨量のモニタリング施行が望ましい。 SScに伴う骨粗鬆症(OP)に特化して活性型ビタミンD(VD)製剤を用いた臨床試験は解説存在しないが,以前からSScでは骨量と関連して,低VD血症を高頻度に合併することが報告されてきた。DovioらはSSc 60例(中央値58歳)において,コントロールに比較し,血中25ヒドロキシビタミンD(25OHD)が有意に低く,VD欠乏(20 ng/mL未満)35.0%,VD不足(30 ng/mL未満)28.3%と報告した8)。その後も,平均25OHDレベルは,YacooubらはSSc群 10.88 ng/mL,コントロール 57.41 ng/mL14),CorradoらはdcSSc群 11.53 ng/mL,コントロール 22.93 ng/mL15),Sampaio-Barrosらは20.66 ng/mL16)とSScでの低下が報告された。HorvathらもVD欠乏はコントロール 39.3%に対し,SScで60%と指摘した17)。また,172 3診療ガイドラインSScに伴う骨粗鬆症に対して活性型ビタミンD製剤は有用か?
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