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骨関節8推 奨SScの骨粗鬆症の予防・治療のためにカルシウムを併用することを推奨する。推奨度:1 エビデンスレベル:B[合意度8.4] 173 173AvouacらはSScにおける骨折のリスク因子として年齢と低VD血症を抽出し18),Kilic Gらは平均25OHDは23.1 ng/mL,VD不足は25.6%であり,関節リウマチ患者(34.5 ng/mL,15.8%)よりもVD低下状態が目立つことを指摘した19)。ただし,低25OHD状態をVDの補充により改善することが骨量維持,あるいは骨量上昇につながるかどうかに関しては臨床試験が行われておらず,明らかではない。実際,Rios-Fernandezらも全例女性のSSc 48例において,約6割がcholecalciferol 800 IU/日を服用していたにも関わらず,VD不足が81%,欠乏(10 ng/mL未満)が9.5%にみられたが,BMDとの相関がみられなかったことを報告している20)。一方,NeumannらはSSc 30例中1例しかOPを認めず,予想よりも少ないとの報告をしているが,その理由のひとつとしてVDを含む骨粗鬆症の薬物療法併用を挙げている21)。なお,SScにおける低VD血症の原因としては,消化管病変による脂溶性ビタミンであるVDの吸収障害や,皮膚硬化の影響15)が推定されている。今のところ,活性型VDがSSc選択的に骨粗鬆症の治療手段として有用であるかどうかは証明されていないが,①SScにおいて血中25OHDレベルの低値が報告されていること,②SScにおいて骨粗鬆症の薬物療法を併用した群で骨粗鬆症の有病率が低かったこと,③ビスホスホネートなどの骨吸収抑制薬の臨床試験では活性型VDが基礎薬として併用され,有用性を示す臨床成績が多数あり,高カルシウム血症に留意しながらも骨粗鬆症対策として使用が望ましいと考えられる22)。     SScに伴う骨粗鬆症(OP)に特化してカルシウムを用いた臨床試験は存在せず,有用性解説は明らかではない。しかし,通常の骨粗鬆症においては骨密度の軽度の増加効果,椎体骨折・大腿骨近位部骨折抑制効果に関して報告があり22),また,多くの骨粗鬆症に対する臨床試験においてカルシウムと天然型ビタミンDが基礎薬として使用されており,SScにおいても骨粗鬆症に対する予防効果は明らかではないが,治療においては有用であると考えられる。カルシウムのサプリメントとしての使用において1回500 mg以上の投与で心血管障害リスクが高まったとの報告があり23),カルシウムの1回投与量は500 mgを超えないよう配慮したほうがよい。CQ3SScに伴う骨粗鬆症に対してカルシウム投与は有用か?

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