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23453 本ガイドラインの主たる目的は,わが国の精巣癌患者の治療成績と安全性およびQOLの向上を目指して,精巣癌診療にかかわる臨床的な疑問に対する推奨を明らかにし,広く標準的診療指針として普及を図ることである。本ガイドラインは,精巣癌の診断,治療にかかわる医療者や患者・市民に実際的な診療指針を提供し,精巣癌患者やその疑いのある人々に対する効果的・効率的な診療法を体系化することを目指している。 2015年1月に第2版『精巣腫瘍診療ガイドライン2015年版』1)が出版され,本2024年版は第3版となる。前版の出版以来,精巣癌ではゲムシタビンやオキサリプラチンなどの導入も進み,新規予後評価法も提案された。また,新規診断法や治療法に関する知見も得られつつある。これらを踏まえ,現在の実地臨床に即した指針の提供のために本改訂版を発刊することとなった。本改訂版では,日本泌尿器科学会より委嘱を受けた複数の関係学会や各領域の第一人者からなる改訂委員およびその作成協力者によって,精巣癌についての多方面からの文献を十分に検討し,体系化された指針を作成することに努めた。 本ガイドラインは精巣癌と診断,あるいは精巣癌が疑われる患者を対象集団として編集した。精巣癌は小児期にも小さなピークがあるが,本ガイドラインは最も症例が多い思春期以後の精巣腫瘍を主な対象とした。また,管理法が共通する性腺外胚細胞腫瘍も対象とした。想定される主な利用対象者は,精巣癌診療にあたる臨床医をはじめとする医療従事者である。さらには,精巣癌患者,家族をはじめとする一般市民,精巣癌に関連する医療・福祉・教育・保険・出版・報道等の関係者や行政・立法・司法機関等においても利用が想定される。特に精巣癌の患者・家族には本疾患への理解の一助となり,医療従事者と医療を受ける立場の方々の相互の理解と納得のもとに,最適な医療が選択され実行されることにつながることを期待したい。 本ガイドラインは,作成時点での標準的と考えられる診断・治療における指針であり,運用に際しては現場の実情,患者の特性などに応じて柔軟に使用すべきものである。また,エビデンスの根幹をなす文献については,本邦での文献が主体であることが望ましいが,わが国ではランダム化比較試験(RCT)が少なく,海外の文献が主体となっていることに注意を本ガイドラインの目的改訂の目的本ガイドラインの適応が想定される対象者,および想定される利用対象者本ガイドラインを使用する際の注意事項

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