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治療後の経過観察の目的は,原発巣再発,頸部再発および後発転移,遠隔転移,異時性重複癌などをできるだけ早期に発見し,速やかに適切な治療をすることにある。治療成績を向上させ,癌を治癒に導くためには,初回の治療法が最も重要であるが,術後の経過観察も同じ程度に重要である。定期的な経過観察は,治療成績の向上だけでなく,経済的効果や患者教育の観点からも重要とする報告がある1)。術後の経過観察期間については,原発巣再発あるいは頸部再発・後発転移を考慮した場合,最低5年間は必要であるという報告が多い2, 3)。また一般に,癌の治療成績は5年生存率に基づいて判断されることから,少なくとも術後5年までは経過観察を慎重に行うべきである。口腔癌治療後の経過観察を行う場合,間隔としては,治療後1年間は最低月1回(可能であれば月2回),1〜2年では月1回,2〜3年では2カ月に1回,3〜4年では3カ月に1回,4〜5年では4カ月に1回,5年以降は個々の症例に応じて6カ月に1回程度が勧められる(CQ52:p.196)。治療後の経過観察においては,原発巣,頸部,遠隔臓器などに対して注意深い診察と各種モダリティを用いた検査の実施が必要である。治療後の経過観察で勧められるモダリティとしては,US,造影CT,MRIによる評価が有効である。また,遠隔転移に対しては,胸部CTによる評価が有効である。また,経過観察中に再発・転移が疑われる場合はPETによる追加検査を行うことが勧められる(CQ53:p.198)。口腔癌の経過観察に腫瘍マーカーの使用の必要性を裏付ける強力な証拠はないものの,補助的因子として,SCC抗原をはじめとする各種腫瘍マーカーの変化を観察するのは有効かもしれない(CQ54:p.199)。CQ  33CQ52口腔癌一次治療後に必要な経過観察の間隔と期間は?口腔癌一次治療後の経過観察を行う場合,間隔としては,治療後1年間は最低月1回(可能であれば月2回),1〜2年では月1回,2〜3年では2カ月に1回,3〜4年では3カ月に1回,4〜5年では4カ月に1回,5年以降は個々の症例に応じて6カ月に1回程度が勧められる。Narrative review2019ガイドライン重要ポイント8-1--A(推奨,見解)カテゴリー推奨の強さエビデンスの確実性備考 Ⅵ 経過観察

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