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第2章 

 人口統計と保健統計

2 人口動態統計

2

 人口の再生産率

 子どもを産むことが可能な年齢を

再生産年齢

といい,算出には「15~49歳」

が用いられている。再生産率とは1人の母(15~49歳の再生産年齢にある女子)
が,次代の母となるべき女児を何人産むかという考え方によるものであり,あ
る年の年齢階級別出生率が今後も続くと仮定して算出する。将来の人口増減の
予測に用いられる。
 この再生産率には

表2-5

に示すように3指標が用いられている。なお式は

2-6②③④

を参照。

 

合計特殊出生率

粗再生産率

)とは,その年における女子の年齢別出生率を合

計した値で,1人の女子が一生のあいだに平均何人の子ども(男児+女児)を産
むかを示す指標である。この値が2.1以下の状態が継続すると,いずれ人口の減
少が始まるとされている。日本では1974(昭和49)年に2.05となり,その後も
減少傾向を示し,2017(平成29)年は約1.43である。
 

総再生産率

とは,合計特殊出生率のうち女児だけについての年齢別出生率を

合計したもので,この値が1以下であれば将来人口は減少することを示す。日
本では1974(昭和49)年に1以下となり,その後も減少傾向を示し,2016(平
成28)年は0.70となりわずかに減少している。
 

純再生産率

とは,総再生産率に加えて,生まれた女児がその母親の年齢に達

表2-5 出生数・出生率・再生産率の年次推移

出 生 数

出生率

1)

(人口千対)

合計特殊
出生率

2)

総再生
産 率

純再生
産 率

昭和25年(’50)
  35   

(’60)

  45   

(’70)

  55   

(’80)

平成 2   

(’90)

  12   

(’00)

  17   

(’05)

  22   

(’10)

  27   

(’15)

  28   

(’16)

 

29   

(’17)

2,337,507
1,606,041
1,934,239
1,576,889
1,221,585
1,190,547
1,062,530
1,071,304
1,005,677

976,978
946,060

28.1
17.2
18.8
13.6
10.0
 9.5
 8.4
 8.5
 8.0
 7.8
 7.6

3.65
2.00
2.13
1.75
1.54
1.36
1.26
1.39
1.45
1.44
1.43

1.77
0.97
1.03
0.85
0.75
0.66
0.61
0.67
0.71
0.70
   …

1.50
0.92
1.00
0.83
0.74
0.65
0.61
0.67
0.70
0.70
   …

資料 厚生労働省「人口動態統計」,国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」

注 1)昭和25~41年は総人口を,昭和42年以降は日本人人口を分母に用いている。

  2)15~49歳の各歳別日本人女性人口を分母に用いている。

  * 概数である。

出典:厚生労働統計協会「国民衛生の動向」2018/2019年版