③土壌そのほかの環境:破傷風,ガス壊疽など。 人間が病原巣の場合は患者と保菌者(carrier:キャリア)がある。保菌者とは,現在症状は呈していないが病原体を保有している者をいい,健康保菌者,潜伏期保菌者,病後保菌者などがある。保菌者は無自覚に排菌している場合が多く,日常生活で多くの人と接触するので,危険な感染源として疾病予防上重視されている。d 感染経路生物などで形態,発育・増殖の方法,媒介性,宿主細胞への親和性,抗生物質の感受性などによって区分される。また,最近はプリオン(prion)と呼ばれる感染性タンパク質も狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病の感染源として認知されてきた。表9-1に代表的な病原体の種類と疾患の関係を示した。 病原体が自然に増殖し活動している場所を病原巣(reservoir of infection)という。感染源(source of infection)とは,実際に起こった感染が直接的にどこに由来するかを示すもので,病原巣自体の場合が多いが,菌に汚染された水・食品や器物などのこともある。 病原巣には次のようなものがある。 ①人間:多くは人間だけの伝染病(コレラ,結核,ハンセン病,性病,麻しん,B型肝炎など)。 ②動物:人と脊椎動物を共通の宿主とする人畜(獣)共通感染症の場合が主なもので,野生動物や家畜,ときには爬虫類,魚,節足動物のこともある(狂犬病,日本脳炎など)。 病原体が病原巣から新しい感受性宿主に侵入するまでの過程を感染経路(route of infection)といい,種々の感染様式に分類される。感染様式は直接感染感染源病因(agent)感染症疾病感染経路環境(environment)感受性宿主宿主(host)184第9章 ● 感 染 症図9-1 感染症の3要因(疫学との比較)
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