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❷ 感染症の予防a 感染症予防の原則b 感染源対策196第9章 ● 感 染 症 感染症の予防対策は感染源,感染経路,感受性宿主の3要因に対して実施する。一方,感染症の予防の観点からも,一次予防から三次予防の段階が考えられる。病原体の種類により病気の進展も異なるので,予防対策の重点は病気により異なるが,一般には,感受性期では一次予防である予防接種のような特異的予防が,感染成立後では二次予防である早期発見・早期治療が特に重視される。 感染症発生時の防疫対策として最も重要なことは,感染源の発見とその隔離,除去であるが,感染源が国内に常在している場合と常に国外にある場合とで異なった対応がとられる。1 国内感染症対策 国内で発生する主な感染症については,各種の法令に基づいて患者の届出や隔離などの防疫対策がとられてきた。しかし,近年の感染症に関連する社会・保健・医療の状況の変化に伴い,新しい時代の感染症対策に向けた法体系の整備が緊要となった。 1999(平成11)年4月1日から,新たに「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下,感染症法と略)が施行されている。 この法律により主な感染症は,発生の予防,まん延の防止および患者の医療に関する総合的な対策が実施される。感染症法に定められている感染症の分類と性格の概要を表9-3に示す。 ①届 出:感染症法により1~4類,新型インフルエンザ等感染症を診断した医師は,直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない(全数把握)。5類感染症のうち,麻疹などを除く全数把握対象疾患については,診断した医師による7日以内の届け出が定められている。 食品衛生法により,食中毒を診断した医師は直ちに最寄りの保健所長に届出を要する。また学校保健安全法に基づいて学校で予防すべき伝染病(学校伝染病)が3群に分けて定められている。これらは学校長に届け出を要し,学校長は必要に応じて出席を停止させることができる。▶▶

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