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背景知識第2章実施評価個人・集団の栄養管理の標準化栄養領域に限定された状態や現象を診断する。例:病気の診断➡脚気  栄養診断  ➡ビタミンB1不足状態栄養ケア・マネジメントの概要栄養スクリーニング栄養アセスメント栄養ケア計画モニタリングサービスの評価と継続的な品質改善活動栄養管理プロセスの概要栄養スクリーニング栄養評価(再評価)栄養診断栄養介入栄養モニタリング・評価栄養管理過程の標準化55管理栄養士には,栄養スクリーニング・アセスメントの結果や情報を用い,問題点や課題を明確にし,解決のための的確な栄養ケアプランを立案するスキルが求められる。近年,栄養評価の方法は,「栄養ケア・マネジメント」(nutrition care and manage-ment:NCM)から国際的に統一化された概念で患者管理を行う「栄養管理プロセス」(nu-trition care process:NCP)へとシフトしている。両者の最大の違いは,NCMにおける従来の「栄養アセスメント」が,NCPでは「栄養評価」+「栄養診断」に分けられた点である1)(図1)。NCPは,より質の高い栄養管理を提供するためのシステムアプローチである。「栄養評価」では,栄養管理に関わるスクリーニングツールや患者個人から得られた各種データ(食生活・嗜好などの履歴,血液生化学データ,各臨床検査結果,身体計測値,身体所見など)などを科学的エビデンスに基づき作成・標準化した基準を用いてシステマティックに分析する。「栄養診断」では,栄養評価で得た各データの評価を総合的に判定する。栄養診断は,あくまで栄養領域における状態や現象の診断であり,「病気の診断」ではないことを十分に理解しておく必要がある。栄養診断のプロセスは,管理栄養士間の栄養状態評価や判定のばらつきを最小限にすることができ,より正確な栄養ケアプランの立案につながる。また,栄養診断はProblem or Nutrition Diagnosis Level, Etiology, Sign/Symptoms(PES)方式により一文で簡潔に表現する(表1)。これによって各医療職種が患者の栄養状態を理解しやすくなり,優先すべき栄養治療の方向性を把握でき,その結果,さらに質の高い栄養管理が実施できる。がん治療における栄養評価の最大の目的は,病期に応じた栄養管理を行う,あるいは,行えているか否かの評価である。病態に合わせた栄養管理を計画できなければ,栄養管理その図1 栄養ケア・マネジメントと栄養管理プロセスの概要〔栄養管理プロセス研究会監修.改訂新版 栄養管理プロセス.第一出版,2022, p11を参考に作成〕2.栄養評価と治療の実際 3 栄養士が行う栄養評価

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