3 死産の原因と対策1955(昭和30)年の約117万件をピークに減少傾向を示し,2022(令和4)年 なお,自然死産率・人工死産率の1966(昭和41)年のピークは,「ひのえうま」の年の異常な出生減少によって率計算が撹乱されたためである。2 人工妊娠中絶 死産統計には母体保護法による人工妊娠中絶のうち,妊娠満12週(第4カ月)から満22週(第6カ月)未満までを含んでいる。中絶件数は表5-2のようにには12万2,725件となっている。 死産の原因は,胎児側と母体側の2つの側面がある。2022年の死産の原因を胎児側病態からみると,ほとんどが「周産期に発生したその他の傷害」とわずかに「先天奇形,変形および染色体異常」がみられる。 母側病態からみると,記載のあったもののうちでは,「現在の妊娠とは無関係の場合もありうる母体の病態」が多い。中でも母体の感染症および寄生虫症によるもの,母体の腎および尿路疾患によるものが多い。 自然死産を減らす対策としては,妊娠高血圧症候群や高齢出産などのハイリスク妊娠を減らすこと,人工死産については,その主原因は人工妊娠中絶であるので家族計画の普及が重要である。2.61.70.71.30.80.71.01.21.31.41.50.00.10.10.10.00.10.00.00.00.00.0妊娠週数別割合(%)満11週以前満12週~19週満20週,満21週1)週不詳91.75.694.43.896.72.593.45.294.44.894.74.694.34.794.44.494.54.294.494.04.24.5表5—2 妊娠週数別人工妊娠中絶件数の割合(%)の推移人工妊娠中絶件数1,170,143843,248671,597550,127343,024212,694176,388141,433126,174122,725第5章 ● 母子保健昭和30年(1955) 40(’65) 50(’75) 60(’85)平成7(’95) 17(2005)289,127 22(’10) 27(’15)令和2(’20) 3(’21) 4(’22)資料 厚生労働省「衛生行政報告例」1)昭和30年,40年,50年は第7月を含む。昭和60年は,満20~23週。※平成13年までは暦年の数値であり,14年以降は,年度の数値である。※平成22年度は,東日本大震災の影響により,福島県の相双保健福祉事務所管轄内の市町村が含まれていない。厚生労働統計協会編:国民衛生の動向,2024/2025100▶▶▶▶
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