a 妊産婦死亡b 死 産❸ 母子保健の指標1 妊産婦死亡の定義(出産10万対)である。児死亡率を算出する際は1~4歳までの者を幼児として扱うため注意を要する。 妊産婦死亡とは,妊娠中または分娩後42日以内の母体の死亡をいい,直接産科的死亡と間接産科的死亡を加えたものである。直接産科的死亡には異所性妊娠,前置胎盤,出血,妊娠中絶,産褥熱などが該当する。また間接産科的死亡には妊娠前から存在した疾患,あるいは妊娠中に悪化して死亡したと考えられるものもある。その例として,梅毒,糖尿病,心血管疾患などがある。 なお,妊婦の自殺や不慮の事故による死亡は,妊産婦死亡には含まない。2 妊産婦死亡率 妊産婦死亡率は出産数10万に対する年間の妊産婦死亡数で示される。妊産婦死亡数出産数 妊産婦死亡率= ×100,000 なお,国際比較を行う際は出生数10万に対して算出する場合もある。 わが国の妊産婦死亡率の推移を表5-1に示す。日本の妊産婦死亡率は以前,先進諸国に比べ高かったが,最近では先進国の中でも遜色ない程度に改善されている。 日本の2022(令和4)年の妊産婦死亡数は33名であり,妊産婦死亡率は4.2 死産とは,妊娠満12週(第4カ月)以後の死児(出生後に心拍,随意筋運動,呼吸のいずれも認められないもの)の出産であり,自然死産と人工死産に分類されている。 人工死産とは,胎児の母体内生存が確実なときに人工的処置を加えたことにより死産に至った場合をいい,それ以外はすべて自然死産となる。 なお,人工的処置を加えた場合でも胎児を出生させることを目的とした場合と,母体内胎児の生死不明か,または死亡している場合には自然死産とされる。第5章 ● 母子保健98▶▶▶▶
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