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各
論
(基礎
-
共通)
者の近く(かつ転倒しやすい方向)に位置することが大切である。
Ⓐ Romberg試験(Romberg’s test)
この試験は,立位姿勢における静的平衡機能を調べるものである。
検査法
立位姿勢で,両足内側を接して,両上肢は手掌を上に向けて前方90°挙上し,顔は正面を向い
て立つ(
図9—1
)。または,手掌を体側に向け,上肢を下垂させて立位にする。立位での開眼時と閉眼
時との身体動揺を比較する。
障 害
小脳障害では,開眼時と閉眼時の身体動揺の差はない(Romberg徴候陰性)が,脊髄性失調症
(深部感覚障害)では,閉眼時に動揺が大きくなり倒れる(Romberg徴候陽性)。
Ⓑ Mann試験(Mann’s test)
この試験は,立位姿勢における静的平衡機能を調べるものである。
検査法
立位姿勢で,左右の足を前後につけて(前足の踵と後足のつま先をつける)一直線上に揃え,
両上肢は体側に垂らし,顔は正面を向いて立つ(
図9—2
)。左右の足の前後を替えて行う。
障 害
開眼時,閉眼時ともに身体動揺を30秒保持するのが困難な場合,陽性。
Ⓒ 片足立ち検査(single leg stance test,SLS test)
この検査は,両足立位より難易度の高い検査である。
検査法
まず裸足立位姿勢で,左右の足を揃えて,両上肢は体の前で交差し対側の肩に触れる。顔は正
面を向いて立つ(開眼検査では1 m前の目標物を注視する)。横にはバランスを崩したとき支えるため
の椅子,または手すりなどを用意する。指示により足が床から離れた瞬間から時間を計測し,両脚を触
れ合わせる,持ち上げた足が床に着く,開始時の上肢の構えを解いたら終了する。開眼だけでなく閉眼
で行うこともあり,その場合の時間計測終了には開眼した場合も加える
88)
。
指 示
一方の脚で体を支え,他方の脚の股関節と膝関節を曲げて,片足で立つように指示する(
図9—
3
)。左右の足を替えて行う。
基準値
基準値を
表9—1
に示す。
障 害
片足立ちを保持できる時間が開眼時5秒以下の場合,転倒リスクは5秒以上立てる人の2.1倍
である。
Ⅱ.バランステストの実際
図9—1
Romberg試験
図9—2
Mann試験
図9—3
片足立ち検査