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患者の評価・治療を行う際に,初心のうちはともすれば,疾患名から患者を把握しようとしてしまう。そのため,習ったことのないものや知らない疾患は,最初から難しいと考えてしまいがちである。実際私が経験したものとしては,患者が転院するので懇切丁寧な紹介状を添えて送り出したのだが,転院先の理学療法士がその疾患を知らないからと理学療法を拒否されたこともあった。実はこの話には後日談があり,なんと転院先の医師と看護師が理学療法について教えを請いに来られたのである。なんとも頭が下がる思いと,そこの理学療法士の不誠実さに腹が立ったものである。閑話休題。たしかに今まで知らなかったり,初めてみる疾患をもつ方を治療することは難しい。しかし,実際は疾患名からその患者を理解するのではなく,その障害の成り立ちの理解が重要となる。もちろん疾患を知らずには治療できないのだが,ここは医師や他のコメディカルと相談のうえ,特にリスクについて把握しておくことが重要である。また,理学療法士は診断こそできないが,医師の診断の補助をする義務を負っている。それ相応の技量というものはもっておく必要はある。1本章をはじめる前に理学療法を行う前に 知っておくべきこと第1章

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