膝関節伸展筋力の弱い患者でも,結構理学療法士の体力を使う。多くの理学療法士が行っている方法としては,肘を伸展し体重を預けるようにして行う方法がある。一側上肢でベッドの脚を掴んで体幹を安定させ,ベッドの脚を引きつつ,患者の脚を 持った腕の肘を伸ばしおさえつけると,強い力が出せる。肘関節屈曲筋力で試してみるとわかるが,上腕三頭筋の筋腹に垂直に軽く指1本あてて肘関節屈曲運動を行わせると,力が出しづらくなる。⑶ 膝関節伸展筋力増強 ちょっとコツのいる方法だが,下肢の内転筋を使って抵抗をかける方法もある。図19 膝関節伸展筋力増強大腿の後面に置いた手で膝関節屈曲筋を促通し,相反抑制で伸展筋力が発揮できない。第1章 理学療法を行う前に知っておくべきこと26実は,本書の第1・2版では,ベッドの角で大腿後面が痛くならないように,手を添えるとよいと説明していたのですが,その方法は不適切なことがわかりました。ここで修正させていただきます。膝屈伸筋力増強は,訓練ベッド上での端座位でよく行われます。しかし,ベッド上での膝関節屈伸筋力増強,特に伸展筋力増強の際には,ベッド上での座る位置によっては,ベッド端と大腿後面の圧迫による痛みを生じます。そこで,ベッドの角を手で当たりを柔らかくすればよいとしていたのですが,これでは膝関節屈筋を手の刺激で促通してしまい,相反抑制で膝関節伸筋の力が発揮しづらくなります。注意深く筋力をみてみると,抵抗量が少なくなることがわかります。端座位での膝関節筋力増強
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