48解説乳がんの治療としてがん薬物療法や放射線療法を受けられている患者さんは,倦怠感(だるさ)やむくみ,手足先のしびれなどが生じる場合があり,どうしても日常生活での活動は控えめになる傾向があります。過度の安静は逆に身体機能の低下を招き,筋力や心肺機能が低下することで日常生活に支障をきたすのみでなく,がんの治療の副作用に耐えることが困難になることも危惧されます。ここでは運動療法の効果について解説しますが,適切な運動を行うことで,乳がん治療中の患者さんにおいても,心肺機能,QOL(生活の質)や倦怠感の改善,うつや不安症状の改善などが認められます。運動時に経験したことのない痛みや,腕や脚の脱力感などが出現した場合には,無理に運動を継続することは避け,すみやかに担当医や整形外科医の診察を受けてください。行う運動としては,自転車エルゴメータ,サイクリングやウォーキング,水泳などの有酸素運動(図2)をやや強いと感じる運動強度で1回20〜30分,週3回行うことを目安として開始します。治療中の体調にあわせて継続できる運動量を見極め,運動の強さや時間を調整することが大切です。運動の強さの指標として心拍数が参考になります。年齢によって心肺機能は異なりますが,心拍数の目標値としておおまかな目安は,「220-年齢の値=推定最大心拍数の60〜80%」とされています(表1)。これらは目安であり無理なく行うことが重要です。比較的運動が苦手と思われている方でも,ウォーキングでは歩き慣れた近所やショッピングモールを無理のない時間で歩くことと,状態にあわせて歩行時間を延ばしていくことで心肺機能や身体機能の維持につながります。また,8〜10回は繰り返して行える程度の負荷で,ダンベルなどを乳がんの治療でがん薬物療法や放射線療法を受けられている患者さんに対して,リハビリテーション(運動療法)を行うことを推奨します。乳がんの治療中(がん薬物療法や放射線療法)に,リハビリテーションを行った方がよいでしょうか?AQ2
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