ab48レベル3 機能障害に対する介入技能図2 座位姿勢(前額面)a:良い例(両側の足底が接地している)b:悪い例(麻痺側の足底が接地していない)1) 挨拶・自己紹介を行い,2つの識別子で患者の確認を行う2) 促通手技を用いた機能練習を行う旨を患者に伝え了承を得る3) 患者の運動を促通しやすい姿勢をとらせる4) 運動を行う麻痺肢の関節可動域,筋緊張,疼痛の有無を確認する5) 促通手技を用いた機能練習の開始肢位をとらせ,可能であれば促通刺激部位を露出させる中枢神経疾患患者のリハビリテーションでは,運動ニューロンの興奮性を高める手技として,電気刺激,振動刺激,タッピングなどの手技が用いられている。これらの促通手技のうち,電気刺激やタッピングは臨床場面で汎用されている手技である。電気刺激は標的筋を支配する運動ニューロン自体の興奮性を高めることや,拮抗筋を支配する運動ニューロンに対する相反抑制により,促通効果が生じると考えられる。タッピングについては,標的筋を叩打することにより標的筋を素早く伸張させて伸張反射を利用するものや,標的筋の皮膚上を掃くようなスウィープタッピングがある。このスウィープタッピングは,同側性伸展反射を応用していると考えられる 2)。同側性伸展反射とは,皮膚を刺激したとき一般的には屈曲反射が生じるが,伸筋の表面を刺激したときに限り,その伸筋が収縮する反射 3)であり,標的筋を支配する運動ニューロンの興奮性を高める。本項ではこのスウィープタッピングに焦点をあてる。・患者とのラポール(信頼関係)形成のため,挨拶,自己紹介を行う。・患者の取り違えを防止するため,氏名に加え生年月日もしくはIDなど,2つの識別子で確認する。・促通手技を用いた機能練習について簡潔にわかりやすく説明し,練習を行うことについて了承を得る。・標的となる筋ごとに姿勢は異なるが,運動時に安定した姿勢でなければならない。端座位であれば,両足底を床面に接地させる(図2)。・肩関節の運動の場合,端座位で骨盤が後傾していると,肩関節の運動が阻害されるため,骨盤直立位の姿勢をとる(図3)。姿勢が運動に影響を及ぼすことを考慮する。・運動に関与する関節の可動域を確認する。・筋緊張の程度や疼痛の有無を確認する。・促通手技を用いた機能練習を実施するための開始肢位にする。・促通刺激がより有効となるよう,可能であれば促通刺激部位を露出させる。2運動ニューロンの興奮性を高める手技3手順のポイント
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