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第13章整形外科疾患検査205応用 9.変形性股関節症」を参照されたい。また,日本整形外科学会では,機能判定基準を付表9—1のように定めている。その中の徒手的検査を説明する。アリス徴候(Allis sign)1肢 位 患者を背臥位にする。検査法 両膝を屈曲し立てる。骨盤の傾きに注意する(図13—34)。陽 性 両膝の高さに違いがある。障 害 短い側の下肢の股関節脱臼,頸部骨折を示す。2肢 位 患者を背臥位にする。検者はその側方に立つ。検査法 検者は患側膝と足首を保持し,股関節と膝関節を屈曲させ胸に近づけるようにする。左右の下肢に行う(図13—35)。陽 性 一側の股関節,膝関節を屈曲した下肢と反対側の伸展している股関節が屈曲して,膝が持ち上がってくる。障 害 持ち上がった下肢の股関節屈曲拘縮を示す。3肢 位 患者を背臥位にし,検者はその側方に立つ。検査法 検者は患者のテスト側(患側)と反対(健側)の前上腸骨棘を一方の手で固定し,患側股関節を屈曲,外転,外旋し,さらに膝関節を屈曲させて,その下肢の外果部を反対側(健側)の膝の上にのせる。検者は他方の手を患側膝内側部に当て下方に圧迫する(図13—36)。陽 性 圧迫したとき股関節部に痛みがある。障 害 股関節の変形性疾患や炎症性反応を示す。4肢 位 患者を立位にし,検者は後方に位置する。検査法 検者は患者の左右の上後腸骨棘に左右の母指を当て,四指を腸骨稜に沿って置く。患者には片足立ちを交互にするよう命じる(図13—37)。陽 性 片足立ちした反対側(持ち上げた側)の骨盤が下がる。障 害 片足立ち側の股関節脱臼か中殿筋筋力低下を示す。 膝関節疾患で痛みを伴う疾患には,変形性膝関節症,半月板損傷,靱帯損傷などがある。変形性膝関節症に対する理学療法評価は「臨床応用 10.変形性膝関節症」を参照されたい。日本整形外科学会では,治療成績判定基準を付表10—1のように定めている。その中の徒手的検査と半月板損傷,靱帯損傷図13—34 アリス徴候トーマステスト(Thomas test)パトリックテスト(Patrick test)トレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg sign)Ⓑ 膝関節疾患検査図13—35 トーマステスト図13—36 パトリックテスト

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