第4章 関節可動域測定(range of motion test;ROM—T)とは,身体の各関節を自動的あるいは他動的に動かしたときの,関節の運動範囲を測定することである。 身体の運動は神経,筋,関節などが正常に働くことによって行われている。それらに異常があると運動機能の障害を起こす。 運動機能障害の中で関節の異常は拘縮,変形,可動域制限として起こる。その異常の程度を知り,身体運動機能の改善度を知るには,関節可動域の範囲を知ることが大切である。 その関節可動域測定の目的を挙げると次のようになる。① 関節の動きを阻害している因子の発見,②障害の程度の判定,③治療法への示唆,④治療効果の判定 関節可動域制限は,いくつかの因子が複合して起こることが多い。それを分けると,関節構造に起因するものと,機能的因子によるものとがある。① 関節構造に起因するものには,脱臼,骨棘,関節内遊離体(関節鼠など),強直などがある。② 機能的な因子には,皮膚,筋,腱,関節包などの関節周囲の軟部組織による短縮,拘縮,中枢神経疾患による痙性,固縮や痛みによるものなどがある。Ⓐ 定 義Ⓑ 目 的Ⓒ 関節可動域制限65関節可動域について理解し,測定法および評価法を身につける①関節可動域測定の定義と目的を説明できる②基本的肢位と解剖学的肢位を説明できる③関節の運動方向について説明できる④0°出発肢位(neutral zero starting position)について説明できる⑤ 角度計を用い,日本リハビリテーション医学会・日本整形外科学会・日本足の外科学会による「関節可動域表示ならびに測定法(2022年4月改訂)」にそって,測定し,記録できる⑥関節可動域の異常について考察できる学習目標行動目標各 論基礎-共通Ⅰ.関節可動域測定の定義と目的関節可動域測定
元のページ ../index.html#2