要 点● コミュニケーションの第一歩は話を聴くことである。● まずは,自身の聴く力を把握することからはじめる。● リハビリテーションの場面では,傾聴スキルは欠かせない。患者の気持ちや悩みに寄コミュニケーションの第一歩は,相手の話を聴くことです。傾聴は,「相手の話に注意深く耳を傾けることで,単なる言語的コミュニケーションの手段ではなく,相手が姿勢,表情,態度を通して訴えるようとしていることを理解しようとするもの」と定義されています 1)。「聴き上手は話し上手」という言葉があります。終始,聞き役に徹しながらも,相手の話から新しいアイデアや情報を得ることができ相手との信頼関係を築く手助けとなります。傾聴を通じて相手の感情や立場を理解し共感を示すことで,より深いコミュニケーションが生まれます。また,相手が気持ちよく話せる環境をつくる力も,コミュニケーションを円滑に図るためには必要です。「伝える力」の項(p147)では,伝える力のチェックを行いました。本項では,聴く力についてチェックしてみましょう(表24) 2)。現時点での自身の聴く能力を把握し,繰り返し実践の中で練習していきましょう。リハビリテーションの場面でも,傾聴スキルは欠かせません。患者の気持ちや悩みに寄り添い,安心して話ができる環境を整える必要があります。新人の医療従事者の中には,患者とコミュニケーションがとれていると誤解しているケースも多く見られます。患者はいつも本音を話しているとは限りません。誰かに配慮して,自分を押し殺しているかもしれません。患者の思いが理解できなければ,信頼関係の構築は困難です。信頼関係を築けないままリハビリテーションを行ってしまうと,「この人に本当のことは話したくない」り添い,安心して話ができる環境を整える必要がある。● 傾聴の3大要素は,「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」である。● 沈黙に慣れる。7. 傾聴1511)聴き上手になる2)自分の聴く力をチェックしてみよう3)リハビリテーションで傾聴が必要な理由7. 傾聴
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