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B. 傾聴力を高めるスキル①会話の割合を意識する②聴く態度と姿勢を意識する③ペーシングを活用する表25の内容について,実際のリハビリテーションの場面で考えてみましょう。患者の話を聴くときは,患者の立場に立って,患者の気持ちに共感しながら話を聴きます(共感的態度)。患者の内容に勘違いや思い込みがあっても,相手の話を否定せず,なぜそのように思ったのか関心をもって話を聴きます(無条件の肯定的関心)。患者の話で理解できない点があれば,わかりにくいことを伝えて,内容を理解するように努めます(自己一致)。傾聴力の高い人の特徴として,①相手の話を聴く力,②相手の話を要約する力,③共感力,④姿勢や表情から相手を理解する力,など複数のスキルを持ち合わせていることが挙げられます。以下に傾聴のスキルを高める方法を示します。会話の割合を,相手7割,自分3割にしましょう。傾聴するには,自分が中心という考えを捨てましょう。体感として話をしなさ過ぎたと思うくらいがこの割合になります。自分の主張を控え,聴く姿勢に徹するようにしてください。話を聴こうと意識することが大切です。表情やしぐさ,声のトーンなども観察し,誠実さが伝わる態度で最後まできちんと話を聞きましょう。・相槌を打つ:相手の話をしっかり聞いているという態度を表します。・アイコンタクト:興味・関心があるという意思を表します。・柔らかい表情:話しやすい雰囲気をつくります。声の大きさや,抑揚などを相手のペースに合わせる方法です。相手がゆっくり話していれば,こちら側もゆっくり話します。表25 ロジャースの3原則 6)1.共感的理解相手の話を,相手の立場に立って,相手の気持ちに共感しながら理解しようとすること。2.無条件の肯定的関心相手の話を善悪の評価や好き嫌いの評価をせずに聴くこと。相手の話を否定せず,なぜそのように考えるようになったのか,その背景を肯定的な関心をもって聴くこと。それによって,話し手は安心して話ができる。3.自己一致聴き手が相手に対しても自分に対しても真摯な態度で,話がわかりにくいときはわかりにくいことを伝え,真意を確認すること。わからないことをそのままにしておくことは,自己一致に反する。7. 傾聴153

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