第3版_322-345●_RITT15責上.mcd  Page 5

16/12/05 11:22  v6.10

モニタした流量をモータの回転数制御にフィード

バックすることによる自動一定流量制御モードを

有し,ローラーポンプと変わらぬ操作性を実現し

た装置も開発され,使用されている。

拍動流ポンプ

a)拍動流専用ポンプ

空気圧駆動式補助心臓のように硬いハウジング

内の弾性のある血液サックをガスの出入りで圧

迫,開放を繰り返し,生体心の心室のように拍動

性の血流を得るもの,回路を外側から周期的に圧

迫することにより狭窄を作成し拍動流を得るもの

などがあるが,現在ではほとんど臨床使用されて

いない。

それは,

流路抵抗が増加し回路やカニュー

レを太くしなければならない,一方向弁を入口,

出口に必要とするなど,装置が複雑かつ高価にな

る割に拍動流であることのメリットが小さいなど

の理由による。

b)無拍動流ポンプの拍動流モード駆動

本来無拍動流ポンプであるローラーポンプや遠

心ポンプにおいて高回転,低回転(停止)を繰り

返すことにより拍動流を得るものである。送血回

路内では

100

200mmHg

の脈圧が容易に得られ

るものの,送血カニューレ部での圧力損失による

ダンピングの度合いが大きく,生体内ではその脈

圧は

20

30mmHg

に減衰してしまう。

c)大動脈内バルーンパンピング(IABP)の併用

体外で作成した拍動流ではダンピングが問題

となることから,大動脈内バルーンパンピング

intraaorticballoonpumping

IABP

)を用いて体内

で拍動流を作成するものである。送血カニューレ

によるダンピングがないことから

60

100mmHg

の脈圧を確実に得ることができる。

B.人工肺

静脈血を酸素加し,

炭酸ガスを除去する装置で,

気泡型肺,続いて膜型肺が開発,使用された。表

2

に両者の比較を示すが,膜型肺の低価格化が進

み,わが国では気泡型肺は現在流通しておらず,

より生理的な膜型肺の使用のみとなった。

気泡型肺

静脈血貯血槽下部から酸素ガスを小孔を通して

小気泡として吹入し,血液と直接接触させること

Ⅰ.生体機能代行装置学

325










図5

遠心ポンプ

直接

血液と
の接触

膜型肺

気泡型肺

血液損傷

やや大

圧力損失

表2

気泡型肺と膜型肺の比較

高価

安価

価格

生理的

効率的

長所

truemembrane:膜を介して
microporousmembrane:準直接